2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19760481
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
赤堀 俊和 Tohoku University, 金属材料研究所, 助教 (00324492)
|
Keywords | Zr合金 / 力学的特性 / ミクロ組織 / 細胞毒性 |
Research Abstract |
現在、硬組織代替インプラントでは、鉄(Fe)、コバルト(Co)およびチタン(Ti)を主成分とする金属製バイオマテリアルの応用が主流となっている。また、現在使用されている金属製バイオマテリアルのほとんどが構造用として既に応用されている材料を生体用として転用したものである。近年、上記材料により構成される硬組織(骨)代替インプラントを体内に埋入した場合、繰り返し負荷等による破断および骨と金属製バイオマテリアルとの弾性率の相違による骨吸収あるいは骨の薄化などの不具合が報告されており、最悪の場合、再手術を余儀なくされる。本研究では、Tiより優れた生体親和性を示すと共に、弾性率がTiより15GPa程度低いジルコニウム(Zr)に着目し、力学的特性のバランスに優れ高生体親和性を有する新規なベースバイオマテリアル(基盤生体材料)の創出を目的とした。 Nb含有量が最も低いZr-5mass%Nb合金ではα+β相の混合組織を呈していたが、同含有量が10mass%以上の場合ではβ単相組織を呈していた。Nb含有量の増加に伴い、Zr-XNb合金の引張強さは線形的に増加したが、伸びは逆に低下する傾向を示した。この中で、Zr-20mass%Nb合金は、それぞれ約480MPaおよび約16%の引張強さおよび伸びを示し、他のZr-XNb合金と比較して良好な強度・延性バランスを示していた。同合金のヤング率は、他のZr-XNb合金と比較して最も低い値(約55GPa)を示していた。また、その疲労限は、約400MPaであった。この場合、既存の生体用チタン合金の引張強さおよび疲労限と比較してやや低い値であったが、溶体化時効処理などの熱処理による析出強化や他のβ安定化元素の添加による固溶強化等により、強度を改善することが可能であると考えられる。細胞毒性に関しては、全てのZr-XNb合金において、4日培養後の細胞数が2倍以上に増殖しており、Nb含有量の変化に対する細胞毒性の有意な差は認められなかった。
|