2007 Fiscal Year Annual Research Report
Mn-貴金属系スピントロニクス材料の相安定性と磁気特性
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19760482
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
梅津 理恵 Tohoku University, 多元物質科学研究所, 助教 (60422086)
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Keywords | ネール温度 / 電子比熱係数 / 状態図 |
Research Abstract |
本年度はL1_0型MnRh合金の磁気的性質ならびに電子状態に関する研究、および、MnPd合金の状態図、γ-MnPd合金の磁気特性に関する研究を行った。 L1_0型MnRh合金は高い反強磁性的安定性を有することが計算結果より得られていたが、室温近傍でマルテンサイト変態を生じて結晶構造が変化し、本質的なネール温度を調べることが出来ないために磁気的安定性を議論することができないでいた。研究代表者は、組成Mn_<50>Rh_<50>の合金試料を作製し、磁化、電気抵抗測定、ならびに低温比熱測定を行うことから電子比熱係数を調べ、電子状態に関する知見を得た。L1_0型MnRh合金の電子比熱係数は約5.0mJ/mol-K^2と一般的な遷移金属合金の値に比べて小さく、その電子状態においてフェルミ面近傍の電子状態密度が低いことを示唆する結果が得られた。これは、第一原理計算から得られた電子状態密度の値とよく対応している。なお、本研究の成果はJ. Phys. Soc. Jpn., 76(2007)104712に掲載された。 一方、MnPd二元系合金の状態図を明らかにする目的で二元系拡散対試料を作製して組成分析を行った。純MnとPdではうまく界面が拡散しなかったため、加工性の良いMn_<90>Pd_<10>合金一旦作製した後、その試料と純Pdとの拡散対を得た。電子プローブマイクロアナライザーを用いた分析を行った結果、fcc-γ相の単相領域、およびfcc-γ相とL1_0型-β相との2相領域に関する新しい知見を得た。γ-Mn貴金属系合金は高いネール温度を有し、巨大磁気抵抗効果を示す交換結合膜のピン止め層として実用されていることから、そのγ相領域を明らかにすることは非常に重要である。
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