2007 Fiscal Year Annual Research Report
反跳粒子検出法を用いたラジカル含有フッ素樹脂系イオン交換膜中の水素輸送機構の解明
Project/Area Number |
19760483
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
土屋 文 Tohoku University, 金属材料研究所, 助教 (90302215)
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Keywords | 高分子電解質 / ラジカル / プロトン伝導度 / 水素輸送 / 反跳粒子検出法 |
Research Abstract |
日本原子力研究開発機構高崎研究開発センターに設置されたガンマ線照射施設を利用して、旭化成製のパーフルオロスルホン酸系イオン交換高分子膜(Aciplex^R-SF:テトラフルオロエチレン・パーフルオロ(4-メチル-3.6-ジオキサ-7-オクテン-1-スルホン酸)共重合物)をコバルト60(∧<60>Co)からの1.17および1.33 MeVのガンマ線を大気中において室温で最大414kGyの照射:量まで照射した。直流電気抵抗測定装置を用いて、イオン交換高分子膜のプロトン伝導度を測定した結果、約50 kGy以上まで照射されたイオン交換高分子膜の室温におけるプロトン伝導度は、未照射のイオン交換高分子膜のプロトン伝導度より約3桁高い値を示し、プロトン伝導特性の向上が確認された。この放射線化学反応によりイオン交換高分子膜に生成された欠陥種は、概存の紫外・可視・赤外分光器を用いることによりフルオロカーボンラジカルやペロキシーラジカルおよびC=0グループの不飽和結合であることが観測され、これらのラジカル欠陥種の生成量は照射量の増加と共に増加することが判明された。これらの実験結果により、放射線化学反応法によるプロトン伝導度の増加は、大気中の水の解離がイオン交換高分子膜表面に形成された分子鎖の切断や架橋であるラジカル欠陥種との相互作用により促進され、プロトン生成量および高分子膜表面からバルク内へのプロトン移動量の増加によって生じたと考えられる。
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Research Products
(3 results)