2007 Fiscal Year Annual Research Report
透過型電子顕微鏡による軟磁性材料の高周波磁気特性解析法の確立
Project/Area Number |
19760484
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
赤瀬 善太郎 Tohoku University, 多元物質科学研究所, 助教 (90372317)
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Keywords | 透過型電子顕微鏡 / 磁性材料 / 高周波 / ローレンツ顕微鏡法 / その場観察 / 交流磁場 |
Research Abstract |
軟磁性材料の多くは交流磁場下で利用されるが、これまでTEMによる交流磁場下の観察手法が開拓されていなかったため、材料の「微細組織や格子欠陥」と「交流磁場下での磁気特性」の関わりは不明な点が多い。そこで、(1)TEM内で試料に交流磁場を印加する独自のシステムを構築して、交流磁場下での磁壁の挙動をその場観察する新手法を確立し、そして、(2)このシステムを用いてヒステリシス特性や渦電流、共鳴といった現象を微視的・材料学的観点から解明することが本研究の目的である。平成19年度の研究実績は以下の通りである。 (1)「TEM内交流磁場印加システム」の機能の補完と観察手法の確立 研究協力者の井上雅夫氏((株)日本電子)と連絡を取り、これまで欠けていた機能(デフォーカス量の任意選択の機能)の補完を行い、実際の試料観察を重ねて、観察手順を確立した(H19年9月金属学会で発表)。また、高性能の交流電源を配線し、より高周波領域の磁場印加するための装置を組み立てた。前者の機能補完は本手法が適用できる試料の種類を増やし、後者の装置は適用できる周波数域を広げるもので、本手法を発展させる上で大きな進展である。 (2)電磁鋼板の磁壁挙動の材料組織との関連の解析 鋼板中の析出物が磁壁移動に及ぼす影響を明らかにするため、異なる析出物周りの磁壁の移動の様子を系統的に観察し、析出物のサイズによる磁壁ピニング力の違いを示した(H20年3月金属学会で発表)。なお、研究を進めるにあたり、研究協力者の谷山明氏((株)住友金属工業)から観察用試料の提供していただき、析出物の分析については共同で実験を進めた。
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