2008 Fiscal Year Annual Research Report
透過型電子顕微鏡による軟磁性材料の高周波磁気特性解析法の確立
Project/Area Number |
19760484
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
赤瀬 善太郎 Tohoku University, 多元物質科学研究所, 助教 (90372317)
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Keywords | 透過型電子顕微鏡 / 磁性材料 / 高周波 / ローレンツ顕微鏡法 / その場観察 / 交流磁場 |
Research Abstract |
軟磁性材料の多くは交流磁場下で利用されるが, これまでTEMによる交流磁場下での観察手法が開拓されていなかったため, 材料の「微細組織や格子欠陥」と「交流磁場下での磁気特性」の関わりは不明な点が多い. そこで, TEM内で試料に交流磁場を印加する独自の装置を用いて交流磁場下での磁壁の挙動をその場観察する新手法を確立し, ヒステリシス特性などの現象を微視的な観点から解明することが本研究の目的である. 今年度は, (1)交流磁場印加システムの最適化と高周波化と(2)高周波用軟磁性材料への本手法の展開を目指して研究を行った. (1)に関しては, 高周波に耐えられる新しい方法として磁場印加用の電磁石に磁気記録用の磁気ヘッドを用いることができないか検討し, 一部を金属学会で発表した. (2)に関しては, 少し方針を変えて, 前年からの電磁鋼板の解析をより系統的に詳しく観察することに重きを置いた. 即ち, 母相の結晶方位や, 介在物の種類やサイズに注意を払って系統的な観察を行い, 磁壁が板状のAIN介在物や球状のMnS介在物と相互作用する様子の違いを明らかにすることができた. 介在物の分析には研究協力者の谷山明氏((株)住友金属工業)に分析装置利用の支援を頂いた. 研究の総括の意味で, 新規の顕微鏡法についても議論が盛んなヨーロッパ顕微鏡学会の国際会議(EMC2008)において成果を発表した. 国内では顕微鏡学会誌のレビュー等に成果が掲載され, また, 日本金属学会の金属組織写真優秀賞に選ばれるなど評価されている.
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