2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19760496
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Research Institution | Sendai National College of Technology |
Principal Investigator |
今井 裕司 Sendai National College of Technology, 電子制御工学科, 助教 (40334693)
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Keywords | 水素センサ / 圧電効果 / 自立型 / 室温作動型 / パラジウム / ポリフッ化ビニリデシ |
Research Abstract |
本若手研究では,水素吸収時のパラジウム(Pd)薄膜の体積膨張に伴う応力を圧電効果を有するポリフッ化ビニリデン(PVDF)基板に伝達して,電気信号に変換することにより水素を検出する新たなタイプの水素センサの開発を目指した。これまでの研究では,市販のPVDF基板上にPd薄膜を無電解めっきすることによりセンサ試料を作製してきた。PVDF基板を薄く作製してそれを効率よく分極させることは,センサの感度向上につながる。本若手研究では,感度向上を目指してPVDF基板を自作してセンサ試料を構成し,水素検知特性について調査した。 電気泳動法,スピンコート法,PVDF溶液にガラス基板を浸して乾燥させる方法により,PVDF薄膜基板の作製を試みた。その結果,PVDF溶液を用いて乾燥させる方法により,最も膜厚が均一で強度が大きい圧電効果を有するPVDF薄膜基板が得られることがわかった。作製したPVDF薄膜を電極と保護膜でコーティングし,その上にPd薄膜を無電解めっきすることによりセンサ試料とした。得られたセンサ試料を水素にさらすとPVDF基板から数mV程度の正の電圧が発生し,雰囲気を空気に戻すと負の電圧が発生することがわかった。また,Pd薄膜の膜厚を大きくすることにより,PVDF基板から発生する電圧が増加することがわかった。これは,Pd薄膜の膜厚が増加するとPd薄膜に吸収される水素量が増加し,Pd薄膜の体積膨張が大きくなったためと考えられる。 従来の電気抵抗変化や光反射率変化を測定して水素を検出するセンサと比較して,本圧電式センサは電源を必要としないため自立型でかつ室温で動作することが大きな特長である。基板温度や成膜速度などの条件を変化させることにより,Pd薄膜とPVDF薄膜の微細構造,結晶性や表面形態の変化が期待できるため,成膜条件が水素検知特性へ与える影響について引き続き調査を進めていく。
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