2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19760496
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Research Institution | Sendai National College of Technology |
Principal Investigator |
今井 裕司 Sendai National College of Technology, 電子制御工学科, 助教 (40334693)
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Keywords | 水素センサ / 圧電効果 / 自立型 / 室温作動型 / パラジウム / ポリフッ化ビニリデン |
Research Abstract |
本若手研究では, 水素吸収時のパラジウム(Pd)薄膜の体積膨張に伴う応力を圧電効果を有するポリフッ化ビニリデン(PVDF)基板に伝達して, 電気信号に変換することにより水素を検出する新たなタイプの水素センサの開発を目指した。従来の電気抵抗変化や光反射率変化を測定して水素を検出するセンサと比較して, 本圧電式センサは電源を必要としないため室温で自立動作することが大きな特長である。本若手研究では, (1)PVDF基板を薄く作製してそれを効率よく分極させ, センサ感度の向上を図ること, (2)Pd薄膜の膜厚依存性と繰り返し水素検知特性からセンサ感度と耐久性を評価すること, (3)PVDF基板の形状によるセンサ感度について調査した。 ディップコート法により膜厚が均一で強度が大きい圧電効果を有するPVDF薄膜基板が得られることがわかった。作製したPVDF基板上にPd薄膜を無電解めっきすることによりセンサ試料とし, 試料を水素と空気にさらしたときにPVDF基板から数mV程度の電圧が発生することがわかった。繰り返し水素にさらしても同様の検知特性が得られることを確認した。また, Pd薄膜の膜厚を大きくすることにより, PVDF基板から発生する電圧が増加することがわかった。これは, Pd薄膜の膜厚が増加するとPd薄膜に吸収される水素量が増加し, Pd薄膜の体積膨張が大きくなったためと考えられる。さらに, 水素ガスとの接触面積が大きくなるようにセンサ形状を変化させると発生電圧が大きくなることがわかった。 以上のことから, 構造が簡単で自立動作する水素センサを実現できた。センサ感度のさらなる向上を目指して実用化へのアプローチを行っていく。
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