2008 Fiscal Year Annual Research Report
配向性アルミナの高温変形に及ぼす配向組織と粒界構造の影響
Project/Area Number |
19760497
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
森田 孝治 National Institute for Materials Science, ナノセラミックスセンター, 主幹研究員 (20354186)
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Keywords | アルミナ / 配向組織 / 粒界すべり / 高温変形 / 拡散クリープ |
Research Abstract |
本研究は、磁場中スリップキャスト法により作製したc軸配向組織を有する多結晶α-アルミナ(以後、配向アルミナ)と配向組織を持たないアルミナ(以後、無配向アルミナ)の高温可塑性を比較・検討することにより、配向組織制御がアルミナの高温可塑性に与える影響の検討に加え、変形機構の解明を目指した。 前年度までに、c軸に対して45°方向に引張応力を負荷した配向アルミナ(45°)と無配向アルミナの変形挙動を比較検討した結果、高応力域では無配向材に較べ配向材(45°)の変形速度が速いのに対し、低応力域ではこれとは逆に無配向材の方が配向材(45°)の変形速度より速いことが分った。さらに、歪み速度と変形応力の相関より求められる応力指数(n値)は、配向材(45°)では変形応力に依存することなく、調査した全応力域でn≈2となり粒界すべりが支配的な変形モードとなることが確認できた。一方、無配向材では、応力の低下にともないn≈2から≈1への遷移が認められ、変形応力の低下にともない粒界すべりから拡散クリープへと支配的な変形モードが遷移していることが確認できた。 温度依存性と粒径サイズ依存性を精査した結果、配向材(45°)の活性化エネルギーQと粒径指数(p値)は、Qt=700-800kJ/molとp≈2となるのに対し、無配向アルミナでは、n値に依存することなくQ≈500-600kJ/molとp≈3となることが見出された。既存データと比較すると、配向材(45°)では格子拡散が、一方無配向アルミナでは粒界拡散が変形の律速過程となっていると推測出来る。一般的に、アルミナにおける変形の律速過程は、粒界拡散と見なされてきたことから、配向材(45°)における変形速度の改善は、組織の配向化による律速過程の変化に起因したものと推察でき、この制御が高温可塑性の改善に向け重要となると思われる。
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Research Products
(8 results)