2009 Fiscal Year Annual Research Report
配向性アルミナの高温変形に及ぼす配向組織と粒界構造の影響
Project/Area Number |
19760497
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
森田 孝治 National Institute for Materials Science, ナノセラミックスセンター, 主幹研究員 (20354186)
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Keywords | アルミナ / 配向組織 / 粒界すべり / 高温変形 / 拡散クリープ |
Research Abstract |
本研究は、c軸配向組織を有する多結晶α-アルミナ(以後、配向アルミナ)と配向組織を持たないアルミナ(以後、無配向アルミナ)の高温可塑性を比較・検討することにより、配向組織制御がアルミナの高温可塑性に与える影響の検討に加え、変形機構の解明を目指した。 これまでに、c軸に対して45°方向に引張応力を負荷した配向アルミナ(45°)と無配向アルミナの変形挙動を比較検討した結果、高応力域では無配向材に較べ配向材(45°)の変形速度が速いのに対し、低応力域ではこれとは逆に無配向材の方が配向材(45°)の変形速度より速いことを確認した。今回さらに、応力依存性、温度依存性と粒径サイズ依存性を精査した結果、以下のように整理できることが出来た。 1) 無配向アルミナ 高応力域:n=2.0,p=3.0,Q=530kJ/mol⇒GBS accommodated by GB difusion低応力域:n=1.0,p=2.0,Q=630kJ/mol⇒Nabarro-Herring(N-H)creep 2) 配向アルミナ 全応力域:n=2.0,p=2.0,p=2.0-3.0,Q=530kJ/mol⇒GBS rate-controlled by dislocation recovery at GB 既存データと比較すると、Q=450-500kJ/molは粒界拡散、Q=650-800kJ/molは格子拡散の活性化エネルギーの値と対応する。以上のことより、無配向アルミナでは、高応力域では粒界拡散律速の粒界すべり(GBS)機構、低応力域では格子拡散律速の拡散クリープ(Nabarro-Herring)機構となっていると推測出来る。一般的に、アルミナの律速過程は、粒界拡散と見なされてきたが、配向材(45°)における変形速度の改善は、組織の配向化による律速過程の変化に起因したものと推察でき、容易すべり面であるc面での塑性(転位)緩和が変形に寄与した結果、高速化に繋がったと推察される。
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Research Products
(10 results)