Research Abstract |
本研究では, フェムトパルスレーザー光を液体中に強く集光することで発生する高密度プラズマが物質に与える影響とその後の冷却過程による超高速な非平衡物質創生プロセスの詳細について検討するとともに, 同手法を材料作製手法に応用し液体中から直接固体材料を作製するための基礎を確立することを目的とし研究を行った. 液体中にフェムト秒レーザーパルスを集光する際に起こる反応メカニズムについて, フェムト秒パルス光の時間分光測定を行うことにより解明を試みたが, 現行のフラッシュランプ励起レーザーではパルス間の安定性が乏しいため, 精度よい測定が行えないことがわかった. これについては, 近々パルス問の安定性に優れるLDポンプフェムト秒レーザーの導入を予定しており, 同装置導入の後明らかにすることができるものと考えている. 反応メカニズムの解明のためのその他のアプローチとして, 炭化水素化合物液体を対象としたレーザー照射について試み, レーザー照射前後の物質の分子構造を比較することにより, 本手法の反応メカニズムが強い光の場による分子の分解現象に基づいていることを明らかにした. 一方, 本手法を無機金属水溶液に応用することで各種金属超微粒子の生成に関する研究も行った. 水溶液の濃度調整ならびに分散剤添加などにより粒径が約2mm程度で単分散の金超微粒子の作製(T.Nakamura, Y.Mochidzuki, and S.Sato, J.Mater. Res., 23, 968(2008))に成功した後, 白金(T.Nakamura, K.Takasald, and S.Sato, J.Appl. Surf. Sci., (2009) to be published)ならびに銀あるいはこれらの合金ナノ粒子へとその応用が広がりつつある.
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