2008 Fiscal Year Annual Research Report
金属複酸化物系ガス分離膜の動力学的組織変化の制御と長寿命化
Project/Area Number |
19760518
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
上田 光敏 Tokyo Institute of Technology, 大学院・理工学研究科, 助教 (90376939)
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Keywords | 金属複酸化物 / 酸素分離膜 / 化学ポテンシャル勾配 / 動力学的組織変化 / 欠陥構造 / 拡散係数の酸素分圧依存性 / イオンの流束 / イオンの流束の発散 |
Research Abstract |
本研究では, 金属複酸化物系ガス分離膜の動力学的組織変化を定量的に予測することで, 現実の使用条件をパラメーターとして酸素分離膜中の組織変化を系統的にまとめる。また, 添加するドーパントの最適化をはかり, 長時間の使用に耐えうる金属複酸化物系ガス分離膜の設計指針を提案することを目的としている。今年度は, 本研究が提案している酸素ポテンシャル分布計算法を多元系に拡張した。酸素分離膜が相分離しない条件下において, 陽イオン同士の移動速度の関係を新たな拘束条件をして計算に組み込めば, 3成分系以上の金属複酸化物中の動力学的組織変化を定量的に予測できることを明らかにした。次年度以降, この手法を酸素分離膜に適用していく。また, 金属複酸化物系酸素分離膜のモデル系としてSrCo_<0.8>Fe_<0.2>O_<3-δ>(SCF)に注目し, 電気伝導度, ドーパントの拡散係数, 酸素分離膜が相分離する酸素分圧差を計算するために必要な標準ギブズエネルギー変化に関する文献調査を行った。その結果, SCFの電気伝導度および酸化物イオンの拡散係数のデータを収集することができたが, ドーパントの拡散係数や基礎的な熱力学データがほとんど存在していないことが明らかになった。次年度以降, 酸素分圧差を変化させて酸素分離膜の相分離を再現する必要がある。一方, 酸素分離膜の動力学的組織変化を実験的に検討するため, SCF膜の作製を昨年度に引き続き行った。その結果, 亀裂やボイドの少ない焼結体を得ることが非常に困難であることが明らかになった。今後, SPS法などを用いて緻密な焼結体を得る予定である。
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