Research Abstract |
平成20年度の研究目的は, エチレングリコール(以下EGと略記)を非水溶液電解の溶媒として用い, 熱電材料として高い性能指数を有することで知られるZn-Sb合金を定電位電解により作製し, そのZn-Sb合金組成を厳密に制御することとした.電解に用いた溶液は, 昨年行った定電流電解の結果を受けて, 総金属塩モル比を15mol%とした浴を基本にして, ZnCI2とAPT(酒石酸アンチモンカリウム)のモル比を25 : 1および30 : 1とした, まず, これらの溶液中において, Zn(II)イオン種およびSb(III)イオン種の還元析出挙動を把握するため, カソード分極曲線を測定した.過去に測定したEG中のZn(II)イオン種の還元挙動と, EG中のSb(III)イオン種の還元挙動から考えて, Zn(II)/Zn基準で0〜-2.0VにおいてZnおよびSbの還元によるカソード電流の増加が確認できた.そこで, この範囲の種々の電位において, 電極反応を厳密に制御できる定電位電解を試みたところ, 電位が卑になるほど得られたZn-Sb合金中のZn含有量が増加し, 電位によって様々な組成(Zn含有量が10〜90mol%)のZn-Sb合金が得られることが分かった.特に, 目的とする組成はZn4Sb3(Zn含有量 : 57.1mol%)に近い組成のZn-Sb合金が得られる条件は, 浴組成 : EG-ZnCl2-APT(85 : 14.4 : 0.6mol%), 電愛温度393K, 電解電位-1.5VvsZn(II)/Zn, 通電量1.5×10^<5>Cn^<-2>であることが明らかとなった.得られた組成は, Zn-Sb(57.5-42.5mol%)であった. 本研究で得られたZn-Sb合金試料に対して, 試料の両端に温度差が生じるように加熱したところ, 起電力が発生することが分かった, 与えた温度差に応じて起電力も増加し, 本研究で得られた電析物は熱電変換能を有することが確認できた.
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