2009 Fiscal Year Annual Research Report
エチレングリコール非水溶媒からの電析法による熱電材料デバイスの作製
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19760523
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
山本 宏明 University of Hyogo, 大学院・工学研究科, 准教授 (40326301)
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Keywords | 表面処理 / 電解析出 / 表面物性 / 化合物半導体 / 非水溶液電解 / 熱電変換 / コバルト-アンチモン合金 / エチレングリコール |
Research Abstract |
本研究は,エチレングリコール(以下EGと略記)を非水溶液電解の溶媒として用い,p型の熱電変換材料であるCo-Sb合金(CoSb_3)を電解析出法により作製し,その組成を制御することを目的とした.電解に用いた溶液は,溶媒のEGに,コバルトイオン源として塩化コバルト(CoCl_2)およびアンチモンイオン源として塩化アンチモン(SbCl_3)を添加して調製した.EG-CoCl_2(90.0:10.0mol%)浴において金属Coの析出状態が良かったことから,浴中の総金属塩濃度は10mol%となるように設定し,CoCl_2とSbCl_3のモル比を調製することでCo-Sb合金の電解生成を試みた. まず,定電流電解法を用いて,種々の浴組成・電流密度においてCo-Sb合金電析を試みたところ,Coを0~90mol%含有した様々な組成のCo-Sb合金が得られる条件を明らかにすることができた.また,浴中のCoCl_2とSbCl_3のモル比を10:1~15:1とすると,目的とした組成(CoSb_3,Co含有量:25mol%)に近いCo-Sb合金が得られることがわかった.そこで,Co(II)イオン種およびSb(III)イオン種の還元析出挙動を把握するため,カソード分極曲線を測定したところ,CoCl_2とSbCl_3のモル比が12.5:1の浴ではp型半導体の析出に起因すると考えられる抵抗分極が観察された.この結果をもとに,この溶液中において,より厳密に電極反応を制御して電解することが可能な定電位電解を試みたところ,0.1V vs Zn(II)/Znにおいて目的組成に最も近いCo-Sb合金(27.1mol%Co-72.9mol%Sb)が得られることが明らかとなった.このCo-Sb合金試料上に温度差を与えたところ起電力が生じ,そのゼーベック係数は約42μVK^<-1>であったことから,本研究で得られたCo-Sb電析皮膜は熱電変換機能を有することが確認できた.この結果は,Co-Sb合金にNiなどを添加してn型化すること,さらには熱電デバイスを電析法により構築するための基礎的な成果といえる.
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Research Products
(5 results)