2008 Fiscal Year Annual Research Report
分離膜と酵素含有培養液を利用した環境汚染有毒物の分解・除去プロセスの開発
Project/Area Number |
19760525
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
片桐 誠之 Nagoya University, 大学院・工学研究科, 助教 (00345919)
|
Keywords | 白色腐朽菌 / 分解酵素 / ラッカーゼ / 酵素固定化膜 / アルギン酸ゲル膜 / 染色産業廃水 / 透過脱色処理 / 脱色率 |
Research Abstract |
本研究では、膜・微生物ハイブリッド型水再生プロセスを発展させた新規な環境汚染有毒物の分解・除去プロセスの開発を行う。微生物として、種々の環境汚染有毒物に対して分解活性を示す白色腐朽菌を用い、この微生物が産生する分解酵素を効率良く利用するためのシステムの確立を目指す。 本年度は、白色腐朽菌が産生するラッカーゼを固定化した酵素固定化膜を作製し、これを用いた染色産業廃水の高度処理について検討を行った。染色産業廃水中には、多量の染料が含有されており着色しているため、処理水の再利用のために廃水の脱色が必要不可欠となる。共有結合法によるナイロン膜へのラッカーゼの固定化およびラッカーゼを包括したアルギン酸ゲル膜の作製を検討した結果、共有結合法では固定化による失活が著しかった。-方、アルギン酸ゲル膜への包括固定では、失活はあまり見られず、条件により固定化量を調節できることがわかった。また、フリーのラッカーゼによる処理との比較から、固定化によりpHに対する安定性が増すこと及び脱色効果が大きくなることがわかった。本研究では、脱色と同時に廃水中の固形分の分離が可能な処理方法の確立を目指していることから、着色廃水の膜透過脱色処理について検討を行った。種々の酵素固定化量のアルギン酸ゲル膜を用いて処理を行ったところ、いずれの条件においても処理開始直後にはわずかな脱色率の低下が観察されるものの、その後は安定した脱色率を示した。また、酵素固定化量を増加させることにより、脱色率を向上できることが確認され、最適条件下では80%という大きな脱色率を維持でき、高度な脱色処理を安定して行うことが可能であった。以上の結果より、染料溶液を酵素固定化ゲル膜に透過させることで、処理条件によって決まる一定の割合で脱色された処理液が連続的に得られることがわかり、分解酵素を効率良く利用するための手法を確立することができた。
|
Research Products
(5 results)