2008 Fiscal Year Annual Research Report
キレートアフィニティーを利用した食品バイオマスからのペプチド分離・回収法の開発
Project/Area Number |
19760529
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
大島 達也 University of Miyazaki, 工学部, 准教授 (00343335)
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Keywords | キレートアフィニティー / IMAC / ペプチド / 分離 / 回収 / キレート樹脂 / 限外ろ過 / 食品バイオマス |
Research Abstract |
食品バイオマスから多様な生理活性の知られるカルノシン類を回収する各種手法について検討するための各種試験を行った。市販されるセルロース系イミノニ酢酸キレート吸着剤にCu(II)イオンを吸着担持させ、カルノシン類の吸着挙動を検討した。セルロース系の吸着剤を用いた場合も、これまでの研究で用いたポリスチレン系のキレート吸着剤を用いた場合と同様に塩類や他のアミノ酸が共存する溶液からカルノシン類が選択的に吸着された。また親水性のセルロース系の吸着剤を用いた場合、カルノシン類の吸着は数時間で平衡に到達し、ポリスチレン系の吸着剤より吸着速度が大幅に速いことが示された。一方、セルロース系の吸着剤は共存タンパク質によるカルノシン類の回収の阻害が小さいことが期待されたが、検討の結果この点での優位性は認められなかった。 次に、液中の低分子量物質や水は透過するが高分子量物質は透過できない限外ろ過膜(UF膜)を用いたカルノシン類の新たな回収法を開発した。UF膜を透過しないデキストランにキレート基としてイミノニ酢酸を導入し、Cu(II)イオンを担持してカルノシン類の捕捉剤として用いた。Cu(II)担持デキストランとカルノシン類の溶液を混合して限外ろ過を行った結果、効率的にカルノシン類を回収することができた。キレートアフィニティーに基づくこの分離法は、吸着法と同様に塩類や他のアミノ酸の影響をほとんど受けず、カルノシン類が選択的に回収された。カツオ煮汁の組成に基づく模擬液からのカルノシン類の回収を検討した結果、アンセリン・カルノシンを効果的に回収することができた。さらに、回収されたカルノシン類は酢酸水溶液を用いて定量的に回収された。これらの結果から、担体に固定されたCu(II)イオンとのアフィニティーに基づいて、複雑な成分から構成される食品バイオマスからカルノシン類を効率的に回収できることが示された。
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Research Products
(9 results)