2008 Fiscal Year Annual Research Report
高温高圧水中でのフェノールを分子触媒とした高速脱水反応機構と分子触媒能の評価
Project/Area Number |
19760533
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Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
佐藤 剛史 Utsunomiya University, 工学研究科, 助教 (60375524)
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Keywords | 脱水反応 / フェノール / 高温高圧水 / アルコール / 分子触媒 |
Research Abstract |
ファインケミカル合成等において重要な脱水反応について、フェノールを分子触媒とした高温高圧水中での高速脱水反応を導入することで、従来の強酸触媒を用いる方法によりも環境負荷を低減させる目的にて研究を行った。 本年度は、前年度作成した高速脱水反応装置による脱水反応実験を、温度360-440℃、圧力25-35MPaにて行った。具体的には、水中、フェノール水溶液中、硫酸水溶液中等にて主に2-プロパノールの脱水反応を行い、温度・圧力が脱水反応速度におよぼす影響を検討した。その結果、反応温度380-420℃、反応圧力35MPaにおいて、反応時間約100秒でのプロパノール残存率が、水中およびフェノール水溶液中では80-90%程度、硫酸水溶液中では20%程度であることがわかった。温度・圧力が異なるデータについて、2-プロパノール濃度に1次として反応解析を行ったところ、フェノール水溶液では圧力増大により反応速度定数が増大すること、水中とフェノール水溶液中にほとんど差がないこと、硫酸水溶液中で脱水反応が顕著に進行することがわかった。 次に、水酸化ナトリウム等も導入し、反応系の水素イオン濃度を変化させた諸条件での実験を行い、1次反応速度定数と水素イオン濃度の関係を整理した。その結果、水素イオン濃度の増大により反応速度定数も増大しており、脱水反応速度が水素イオン濃度に強く依存していた。 これらの結果は、高温高圧水中で安定な化合物であるフェノールの解離を利用し、温度・圧力の操作により水素イオン濃度を変化させることで、様々な酸触媒反応速度の制御が可能となることを示している。
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