2007 Fiscal Year Annual Research Report
新規なエマルションゲル化法による機能性ソフトマテリアルの創製
Project/Area Number |
19760534
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
徳山 英昭 Nagoya University, 大学院・工学研究科, 助教 (10363029)
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Keywords | 刺激応答性ゲル / 感温性ゲル / 多孔質構造 / N-イソプロピルアクリルアミド / エマルション |
Research Abstract |
本研究は、温度、電場、光などの外部環境の微小な変化に応答して、膨潤度や親・疎水性などの物理化学的特性が劇的に変化する刺激応答性ゲルの新規な構造制御技術の開発とそれによる新規な機能性ソフトマテリアルの創製を目的とする。平成19年度は、約33℃を境に低温で膨潤し高温で収縮する感温性N-イソプロピルアクリルアミドゲルを例に、新規な感温性多孔質ゲルを創製した。具体的には、モノマーを含む水相に不活性な微小油滴を分散させたO/Wエマルションの水相をゲル化させる方法(エマルションゲル化法)を確立し、最終的に、油相を洗浄除去して多孔質ゲルが得られる。ある代表的な条件で作製したゲルは、直径が1〜40μmの分散した球状の孔を有することがSEM像で観察された。また、エマルションの油滴が孔のテンプレートとなっていることを明らかとした。ゲルの作製条件により孔径とその分布を制御でき得るが、最も重要な因子は、界面活性剤量である。膨潤特性の評価を行い、多孔質ゲルでは、ゲル相が均質網目構造であること、孔の体積分率が仕込みの油相体積に相当していることが窺われた。多孔質ゲルの膨潤・収縮速度は、均質ゲルのそれと比較して格段に速い(10℃と50℃の温度ジャンプを与えた時、ある大きさのゲルで、前者は数分、後者は1日)。これは、ゲル相が局所的に微小体積であることに起因している。本研究で開発した新規な形態の多孔質ゲルおよび微小油滴を内包したエマルションゲルは、刺激応答性ゲルの分離・反応・貯蔵場への応用展開を加速するといえ学術的意義は大きい。平成20年度は、孔径(油滴径)を高度に制御できるエマルションゲル化法の進化と、多孔質ゲルおよびエマルションゲルの薬物徐放材料や重金属の分離材等の応用展開について検討する。
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