2007 Fiscal Year Annual Research Report
層状粘土化合物の層間を舞台とする新規固体不斉触媒の開発
Project/Area Number |
19760540
|
Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
原 孝佳 Chiba University, 大学院・工学研究科, 助教 (60437358)
|
Keywords | 層状粘土化合物 / パラジウム触媒 / アルコール酸化反応 / グリーンケミストリー / 不斉合成触媒 / アミノ酸錯体 |
Research Abstract |
本申請研究では、層状粘土化合物の層間を規制されたナノ空間として捉え、固体と分子間に働く相補的な相互作用を自在に操り、活性種近傍でのエナンチオ選択性の発現のみならず、反応場の立体的制御による反応選択性の発現も目指し、高次の分子認識が可能な固体不斉触媒を開発することを目的としている。二次元的に制限されている表面設計では、i)活性金属種と固体表面との強固な結合、ii)反応の起点となる配位不飽和サイトを残したままの活性点近傍の立体的制御、という2つの相反する条件を満たす必要がある。層状粘土化合物の層間スペースは、熱的・化学的にも安定であり、反応条件にかかわらずその特異的な構造を保持したまま精密設計が可能である。ターゲット反応として、2級アルコールからの光学活性アルコールを得る速度論的光学分割を試み、高付加価値生成物を合成する。加えて、環境調和型物質変換技術の確立という観点から、反応後に水のみを副生する分子状酸素を酸化剤として用い、分離・回収・再使用まで視野に入れる。このように、層状粘土化合物の特性を利用した新規な高機能化触媒材料が開発できれば、自然共生型物質変換プロセスの構築に大きく貢献し、学術的のみならず化学産業全体にも大きなインパクトを与え、社会に対する波及効果は極めて大きいと考えられる。 昨年度まで、数種のPd-アミノ酸錯体の合成とキャラクタリゼーション、さらに粘土層間内へのインターカレーションを行い、各種アルコール類の選択的酸化反応へと適用した。結果、アミノ酸にD-valineを用いた触媒(Pd-val/NiZn)が、効率よく反応を進行させることが明らかとなった。
|
Research Products
(5 results)