2008 Fiscal Year Annual Research Report
層状粘土化合物の層間を舞台とする新規固体不斉触媒の開発
Project/Area Number |
19760540
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
原 孝佳 Chiba University, 大学院・工学研究科, 助教 (60437358)
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Keywords | 層状粘土化合物 / パラジウム / アルコール酸化反応 / グリーンケミストリー / 不斉合成触媒 / アミノ酸錯体 |
Research Abstract |
"環境にやさしいモノづくり"を実現する物質変換プロセスを構築するためには、多様な機能を集積した新世代の固体触媒の開発が必要不可欠である。本申請研究では、層状粘土化合物の層間を規制されたナノサイズの反応空間として捉え、高次の分子認識が可能な固体不斉触媒を開発することを目的とした。 アミノ酸にD-Valineを用い、K_2PdCl_4との錯化を施すことにより、新規Pd-Valine錯体(Pd-D-Val)を合成した。続いて、アニオン交換性層状粘土化合物であるNi-Zn複塩基性塩(NiZn)にインターカレーションすることにより、NiZn固定化Pd-Valine錯体触媒(Pd-D-Val/NiZn-PO_4)を合成した。高エネルギー加速器研究機構で放射光を利用したPdK殻X線吸収微細構造解析の結果から、本Pd-D-Valine触媒におけるPd種は、PdとD-Valineが1:1で錯化した単核Pd^<II>種がNiZn層間内に固定化されていることがわかった。調製した触媒は、空気中の酸素分子を酸化剤とする1-フェニルエタノールの酸化的脱水素反応にて極めて高い触媒活性を示し、Pd基準のターンオーバー数(TON)は2, 000に達した。このことから、環境にやさしい物質変換反応を可能とする高機能な不均一系触媒が設計できたといえる。この結果は、下記の国際学会などでその成果を発表した。 速度論的光学分割を起こす場合、反応中間体であるPd-アルコレート種からのβ-ヒドリド脱離の段階における反応性を制御する必要があるが、D-Valでは立体制御が行えなかったため、ラセミ体の分割は達成できなかった。そこで、D-Val構造中のアミノ基を嵩高いフェニル基で修飾したD-Ph-Val配位子を合成したが、N-Ph結合の回転に自由度があるため、不斉選択性は発現していない。
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Research Products
(9 results)