2007 Fiscal Year Annual Research Report
精密設計された酸塩基両機能固体表面の開発と高効率有機触媒反応への応用
Project/Area Number |
19760541
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
本倉 健 The University of Tokyo, 大学院・理学系研究科, 助教 (90444067)
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Keywords | 触媒設計 / 酸・塩基 / 不均一系触媒 / 多機能触媒 / 有機合成 |
Research Abstract |
平成19年度は固体酸表面にアミノ基を固定化することで、新たな酸・塩基両機能触媒を調製した。また、調製した触媒の構造解析と種々の有機合成反応に対する活性評価を行なった。 固体酸シリカアルミナ(SA)に3級アミノ基をシランカップリング反応によって固定化した触媒(SA-NEt_2)はカルボニル化合物とシアノギ酸エチルとの反応によるシアノヒドリン誘導体合成に極めて高い活性を示した。例えば、ペンズアルデヒドとの反応ではわずか1時間で収率95%で目的生成物が得られた。この反応は均一系の三級アミンや、担体のシリカアルミナのみではほとんど進行しない。また、アミノ基の担体に弱酸性のシリカやアルミナを用いた場合も反応性は低下した。これらの結果から、SA-NEt_2中のアミノ基に由来する塩基点とSA表面の酸点の両方が機能して、自的のシアノエトキシカルボニル化反応が進行していると予想される。シアノエトキシカルボニル化反応はこれまでに不均一系触媒を用いる報告はなく、本研究が初めてである。 調製した触媒は固体^<13>C, ^<29>Si MAS NMR、IR、元素分析等で構造解析をおこなった。固体^<13>C MAS NMR測定から、SA表面にシランカップリング反応によって固定化されたアミノ基は、トリエチルアミンなど通常の三級アミンを吸着させた場合と比べて、SA表面の酸点との相互作用が弱まっていることがわかった。これによって触媒中の酸点と塩基点は中和することなく存在でき、目的の反応への協働触媒作用を示し、反応活性が向上していると考えられる。 以上の研究成果について、論文投稿4件、学会発表8件(うち国際会議5件)を行なった。
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Research Products
(12 results)