2008 Fiscal Year Annual Research Report
劣質石炭資源から化学原料、有用物質を回収する新規フラクショネーション技術の開発
Project/Area Number |
19760544
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
蘆田 隆一 Kyoto University, 工学研究科, 助教 (80402965)
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Keywords | 石炭 / フラクショネーション / 溶剤抽出 / 分離精製 / 化学原料 / 熱軟化溶融性 / メソフェーズ / 水素化 |
Research Abstract |
本研究では、石炭を無極性溶剤流通下、石炭が分解しない350℃以下で抽出することで、石炭分子の凝集構造を熱的に緩和し、凝集構造中に取り込まれていた多くの低分子成分を溶剤の溶解力で溶かし出すと同時に、溶剤の溶解力の温度依存性を利用して、抽出された低分子成分を石油の精製のように分離精製(フラクショネーション)する技術を開発した。フラクショネーション法を種々の石炭に適用したところ、瀝青炭では、抽出温度が高くなるほど、原炭中のより高分子量の成分が抽出されることがわかり、瀝青炭を分解することなく分子量の異なる6〜8種の成分に分離できることが明らかとなった。抽出物は顕著な熱軟化溶融性を示し、また高温で抽出される成分ほど高温で溶融すると)とがわかった。抽出物のこのような性質を活かし、抽出物から高性能炭素材料の前駆体として重要なメソフェーズの調製を試みたところ、瀝青炭から得られた数種の成分においてメソフェーズの生成が確認された。一方、低品位な褐炭を、同法により、化学組成の大きく異なる成分に分離することに成功した。また、化学的に安定な1-メチルナフタレンと、水素化能を有するテトラリンを溶剤に用い、フラクショネーション挙動に及ぼす溶剤種の影響を検討したところ、瀝青炭ではその挙動にほとんど差はなかったが、褐炭では、テトラリンを用いた場合に、1-メチルナフタレンを用いた場合よりも、抽出率が向上し、350℃程度の比較的穏和な条件にもかかわらず溶剤からの水素移行が確認された。このことより、褐炭のような低品位炭に対しては、水素化改質と成分の分離を効率的に組み合わせた転換法を開発しうる可能性が示された。
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