2008 Fiscal Year Annual Research Report
コンビナトリアルアプローチによる人工シャペロン分子の開発とプロテオミクスへの応用
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19760549
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山口 哲志 The University of Tokyo, 大学院・工学系研究科, 助教 (80398106)
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Keywords | 蛋白質 / 凝集 / リフォールディング / コンビナトリアルアプローチ / SDS-PAGE / 活性染色 / マイクロ流路 / シクロデキストリン |
Research Abstract |
本研究の目的は、蛋白質の凝集を抑制し、蛋白質のリフォールディングを介助する新しい小分子凝集抑制剤(人工シャペロン分子)を開発すること、および、その分子構造と機能との関係を調べることであった。また、小分子凝集抑制剤を二次元電気泳動後のゲル中でのリフォールディングに応用し、生理活性を指標にした網羅的な蛋白質の機能解析法を開発することも、挑戦的な応用研究目標の一つとしていた。 昨年度までに、リード化合物の疎水性側鎖部位を多様な構造にしたライブラリーの中から、既存のリフォールディング用凝集抑制剤よりも優れたリフォールディング収率向上効果を示す化合物を見つけることに成功した。本年度は、他の部位を多様化させてライブラリーを拡張しスクリーニングを行った。また、これらの化合物群の添加が、変性蛋白質のリラォールディング速度と凝集速度に与える影響と、水溶液の表面張力に与える影響との関係を調べた。その結果、少しだけ表面張力を低下させるような化合物群が、蛋白質のリフォールディングにあまり影響を与えずに大きく凝集を抑制でき、蛋白質のリフォールディング収率を著しく向上させることが定性的には明らかになった。 さらに、今回開発した人工シャペロン分子では無いが、既存の凝集抑制剤(シクロデキストリン)を添加することによって、SDS-PAGE後のゲル中でのリフォールディングが大きく促進されることを示した。これは、ゲル電気泳動後の活性染色による網羅的な機能解析法を実現する上で、非常に重要な成果と言える。また、同様の技術を、マイクロ流路中でのリフォールディングにも応用し、流路中での凝集体形成量を大きく低下させることにも成功した。
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Research Products
(8 results)