2009 Fiscal Year Annual Research Report
特殊な分子環境で行われる核酸の分子認識と構造形成の解明
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19760557
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Research Institution | Konan University |
Principal Investigator |
中野 修一 Konan University, フロンティアサイエンス学部, 准教授 (70340908)
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Keywords | 核酸 / ヘアピン構造 / 分子クラウディング / i-motif構造 / ハンマーヘッドリボザイム / 機能性核酸 / 金属イオン / 構造安定性 |
Research Abstract |
本年度は、細胞内部に特徴的な分子クラウディング環境、カチオン性分子が共存する環境、アニオン性分子が共存する環境における核酸構造と機能を簡便に検出できる核酸分子の取得を試みた。前年度までの研究で得られたDNA配列設計技術を利用することで、構造安定性が厳密にコントロールされたヘアピンDNA分子群、並びにヘアピンRNA分子群を開発することに成功した。これらの分子群は、金属イオンやカチオン性分子に対して異なる応答領域(ダイナミックレンジ)を示すことが確認され、当初の研究目的を達成したといえる。この構造安定性が厳密にコントロールされた分子群を利用することで、細胞内部環境における塩基対構造の形成能力が評価できると期待される。そこで、このDNA及びRNA分子群を用いて分子クラウディング効果を調べたところ、ヌクレオチドと金属イオンの結合性が大きく変化することが定量的に明らかになった(Nucleie Acids Symp. ser.,53,519(2009))。本研究ではハンマーヘッドリボザイムを用いた検証も行い、リボザイム活性に対する分子クラウディング効果を、マグネシウムイオンとの結合エネルギーの観点から解明した(J.Am.Chem.Soc.,131,16881(2009))。さらに、共存するアニオン性分子の影響も調べたところ、アニオン性分子によって低下するリボザイム活性が、分子クラウディング環境では回復することを見出した。また、分子クラウディング効果によってDNAの特殊構造体(i-motif構造)のpH応答性を大きく変えられることもわかった(Chem.Commun.,46,1299(2010)。以上のヘアピン構造分子群、ハンマーヘッドリボザイム、そしてi-motif構造は、分子環境をモニターできる機能性核酸として利用でき、細胞内部などの特殊環境で機能する核酸分子の設計と機能解明に役立つと期待される。
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Research Products
(12 results)