2007 Fiscal Year Annual Research Report
ベシクルバイオリアクターを利用した効率的タンパク質合成システムの開発
Project/Area Number |
19760559
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Research Institution | National Agricultural Research Organization |
Principal Investigator |
黒岩 崇 National Agricultural Research Organization, 食品総合研究所食品工学研究領域, 契約研究員 (60425551)
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Keywords | バイオリアクター / 酵素反応 / バイオテクノロジー / ベシクル / マイクロバイオプロセス |
Research Abstract |
脂質二分子膜からなる閉鎖小胞であるベシクルの内部水相を効率的なタンパク質合成の反応場として利用するためには、反応に必要な酵素などの生体成分を効率よくべシクルに内包する必要がある。さらに、反応後のべシクルの迅速な分析、定量的な分離・回収を達成するためには、粒径が均一であることが望ましい。そこで初年度には、ベシクルバイオリアクターを利用した新規な生化学反応技術を開発するための基盤技術として、酵素などの反応成分を内包し、粒径のそろったべシクルの量産技術の開発を行った。 マイクロチャネル乳化法により、内包物質を水滴中に含む油中水滴型(W/O)エマルションを作製し、この水滴を基材としてベシクルを作製する手法を開発した。本法では、マイクロチャネル乳化により得られる大きさのそろった水滴を凍結させることでベシクル作製工程における水滴径の変化を最小限にし、この氷滴をベシクル構成脂質で被覆することにより内包物質の漏出を抑えながらベシクルを調製できる。このような作製メカニズムに基づき、本法を「脂質被覆氷滴水和法」と呼ぶこととした。 平均液滴径が5〜40μm程度の均一径エマルションを基材として脂質被覆氷滴水和法によりベシクルを調製したところ、エマルション液滴の大きさを反映した粒径のべシクルが得られ、本法によりベシクル粒径の制御が可能であることが示された。また、ベシクルの作製条件を種々検討した結果、内包物質モデルとして用いたタンパク質の内包率は50%に達し、初年度の目標である内包効率水準を達成することができた。さらに、酵素(α-キモトリプシン)内包ベシクルの調製を試みたところ、酵素活性を維持したまま高い内包率で酵素をベシクルに内包でき、本法はべシクル内で酵素反応を行うための基盤技術として優れた特性を有していることを示唆する結果が得られた。
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Research Products
(5 results)