2008 Fiscal Year Annual Research Report
宇宙機における液体推進薬のスロッシングと相変化が連成する熱流動現象の解明
Project/Area Number |
19760560
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
姫野 武洋 The University of Tokyo, 大学院・工学系研究科, 准教授 (60376506)
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Keywords | 自由表面流 / 微小重力 / スロッシング / 数値流体力学 / ロケット / 伝熱 / 表面張力 / 相変化 |
Research Abstract |
本研究では、様々な加速度環境で貯蔵容器内部の液体を望ましい位置に保持し、思い通りに搬送する"流体管理技術"の確立へ向け、主として宇宙機の推進薬タンク内部の自由表面流を対象とし、その熱流動特性を実験と数値解析の両面から解明することを目的とした。また同時に、関連する流体機器の設計に不可欠な基盤技術として、相変化を考慮した自由表面流の数値解析手法を構築して提案することを目指した。 実験では、液体揺動を減衰させる邪魔板を容器内に装備した場合や、浮体(落し蓋)を導入した場合について試験を行った。邪魔板と液面の相対位置関係が、液体揺動の振幅を決定する支配的要因であることを確認し、振幅の相違が圧力変化に及ぼす影響を定量的に評価した。液体揺動が目視では認識できないほど微小な場合についても、光の屈折を利用して液面の微小傾斜角を非接触計測する手法を適用し、揺動振幅を捕捉した。浮体については、液体揺動の制振効果と、液面上の熱交換を遮断する効果によって圧力変化を抑制することを確認した。 数値解析については、液面における適切な表面張カモデルの構築と熱伝達モデルの検討を行った。新たに、伝熱および相変化現象を安定に解析できる数理モデルを考案し、報告者らが開発している自由表面流解法(CIP-LSM)に実装した。ステファン問題および単一気泡成長問題など、既存のデータと比較した検証により、当該モデルが適切であることを確認した。さらに、実験を数値的に模擬することにより、計算が密閉容器内の液体揺動に伴う圧力降下を定性的に再現できることを確認した。 以上の計算結果を分析することにより、変形する液面が熱交換と相変化を促進する効果を評価するとともに、密閉容器内の圧力変動を適切に予測するための手法としてとりまとめた。
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Research Products
(4 results)