2009 Fiscal Year Annual Research Report
インフレータブル構造体を利用した新しい再突入飛行体システムの研究
Project/Area Number |
19760563
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
大津 広敬 Ryukoku University, 理工学部, 准教授 (20313934)
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Keywords | 再突入飛行体 / 高速空気力学 / 航空宇宙工学 / 低弾道係数飛行体 |
Research Abstract |
昨年度実施した風洞実験によりインフレータブル構造体を気流に対して傾けることにより揚力が発生することが明らかとなったことから、本年度は、揚力を発生する場合に同時に発生するピッチングモーメントに着目し、このような飛行体が、ある一定の迎え角を安定して維持させることができるかどうかを実験的に調べることを目的として、風洞実験を行った。 風洞実験には東京大学所有の極超音速風洞試験設備を用い、昨年度使用した模型に縦方向(ピッチ方向)のみに回転可能なヒンジを組み合わせた模型を作成した。この試験模型は、通風中に迎え角が空気力により自由に変化可能なものである。風洞試験で変化させたパラメータは、インフレータブル構造体を模擬したリングと気流のなす角度と、リングと再突入飛行体との距離の2つである。本試験では、模型の一部分の回転に伴う迎え角の変化を検出する機構は搭載していないため、空気力の計測は行わずに、模型の姿勢変化の観測のみを行った。 まず、リングを傾けない場合については、リングと再突入飛行体との距離が十分大きい場合は、姿勢は安定していた。これは、空気力によるリングの姿勢変化に対して再突入飛行体の縦方向の静安定および動安定が確保出来ていることを示している。 次に、リングを傾けた場合については、大きく傾けるにつれて揚力が増加し、揚抗比が増加することから、姿勢が安定しないことを予想していたが、揚抗比そのものが比較的小さいことから、リングを45度まで傾けてもリングと再突入飛行体との距離が十分大きい場合は、姿勢は安定していた。しかし、リングと再突入飛行体との距離が小さい場合は、迎え角が不安定と安定を繰り返すような挙動を示すケースや、完全に回転してしまうケースも見られた。 これらの結果から、インフレータブル構造体と再突入飛行体との距離を十分確保できれば、飛行体の迎え角を安定させることができることが明らかとなった。
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Research Products
(2 results)