2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19760564
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
酒井 武治 Nagoya University, 大学院・工学研究科, 講師 (90323047)
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Keywords | アブレーション / 空力加熱 / 高温 / 多相 / 炭素繊維断熱複合材料 |
Research Abstract |
宇宙航空開発研究機構総合技術研究本部の750kWアーク加熱風洞で軽量アブレータを加熱試験した。軽量アブレータは炭素繊維にフェノール樹脂を含浸させて制作し、比重は約0.3、径40mmで厚さ30〜40mmの円柱形状を有する。本試験では、アブレータ内部および表面温度の計測と供試体衝撃層内のレーザー光透過計測および加熱試験後の供試体の内部密度分布計測を通して、アブレーション時に起こるコーキング現象をモデル化するための実験データの取得を目的とした。加熱試験条件は加熱率と衝撃圧でそれぞれ、1MW/m^2と2kPaの低加熱率条件と、2MW/m^2と4kPaの高加熱率条件の2条件で行った。淀み点付近で最大7mmの損耗が起こり、炭化層は加熱面から約20mmの深部まで達した。供試体の温度は表面で最も高く、低加熱率で1500℃、高加熱率で2000℃であった。得られた成果を要約すると以下の2つとなる : (1)加熱後供試体のコア部(約15mm径) 内密度分布を、材料を削ることで計測した。面外方向内部密度分布は加熱率条件によって定性的に異なることがわかった。これは、地上実験の加熱環境でコーキング現象の切り分けが十分可能であることを示唆するとともに、実フライト環境におけるコーキング現象の予測可能性につながるものと期待できる。ただし、表面損耗を伴った今回のような実験で、コーキングが起こった際に見られる加熱面付近の内部密度増加を明瞭に観測することが難しく、密度分布をより詳細に計測するための改良した実験を行なう必要があることがわかった。(2) レーザー透過光の減衰は、いくつかの加熱試験時に観測できたが、再現性はあまりよくなかった。今回行った2MW/m2の加熱率下では固体粒子の数密度が低い可能性があり、再現性をよくするためには、衝撃層内のレーザー光の光路長をミラー系などを使って長くするなど、現在の実験系に改良を加える必要があることがわかった。
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Research Products
(5 results)