2007 Fiscal Year Annual Research Report
高温熱面を用いた支援燃焼により高機能化を実現する宇宙用超小型推進機の基礎研究
Project/Area Number |
19760568
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
各務 聡 Kyushu Institute of Technology, 工学部, 助教 (80415653)
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Keywords | 宇宙推進 / 液体推進薬 / 高温熱面 |
Research Abstract |
当該年度において,本研究で必要となる液体推進薬供給系の構築ならびに噴射器の試作と評価を行った.本研究で用いる液体推進薬(HANやDME)は,金属や樹脂に反応性を有するため,電磁バルブ,流量調整バルブ,コリオリ流量計は反応性を鑑みて選定し供給系を構築した.供給系構築と同時に,衝突噴流型と同軸型噴射器を試作し位相ドップラー法(PDPA,phase Doppler particulate analysis)により噴射された液滴の直径や移動速度分布を測定した.安全上HANに代わる模擬液体を用いる必要があったため,準備段階としてHANの表面張力,密度,粘性係数を測定し様々な流体の特性を調べた.結果,約60%のグリセリン水溶液が類似する特性を有するためこれを用いた.試作した衝突噴流型噴射器は流路径0.15mmの噴射口を二つ有しこの噴射口から液体推進薬を供給し衝突させているが,衝突点より下流に長さ約30mm程度の液膜が形成されさらに下流で分裂し液滴が形成されていた.このときの液滴の平均直径並びに移動速度は,20μm,15m/sであった.また,DMEが容易に気化できることを利用して気体と液体の速度差により液滴を分裂させ混合させる同軸型噴射器を試作しその評価を行った.液膜は全く形成されず,噴射口下流5mmで液滴が形成され平均直径並びに移動速度は,30μm,25m/sとなった.以上のような液滴直径・移動速度の測定結果並びに液滴燃焼に関するモデルを用いて液滴の蒸発に必要な燃焼室長さを算出したところ,100〜200mmであった.この燃焼室長さは従来の小型推進とほぼ同等であることから,試作した噴射器が小型推進機に適用できることを示した.
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