2008 Fiscal Year Annual Research Report
新再突入技術確立に向けた印加磁場による弱電離プラズマ流制御の粒子シミュレーション
Project/Area Number |
19760571
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Research Institution | Japan Aerospace Exploration Agency |
Principal Investigator |
葛山 浩 Japan Aerospace Exploration Agency, 宇宙科学研究本部, プロジェクト研究員 (80435809)
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Keywords | 再突入熱防御技術 / 電磁流体力学 / 希薄気体力学 |
Research Abstract |
1960年代に宇宙機再突入時の新しい熱防御方法として,突入時に機体周りに生じる弱電離プラズマ流を磁場により制御するシステムが考案された。この画期的システムでは、電磁力によって機体の曲率半径を見かけだけ大きくすることで能動的に熱防御を行うため、これまで熱防御に使用されていた断熱材やアブレータなどの受動的な熱防御から脱却できる。当時は、磁場強度の問題から実現性がないと考えられていたが、最近の超伝導材の目覚しい発達により、このシステムが再び注目を集めている。宇宙航空研究開発機構では、電磁力を用いた流れ制御の熱防御システムへの適用を検証する目的で、希薄アークジェット風洞を用いた電磁流れ制御実験が行われている。本研究では、粒子および連続流近似によりこの実験の詳細なシミュレーションを行って、その物理メカニズムの解明を目指した。結果として、粒子法と連続流シミュレーションの結果に大きな違いは見られず(実験の流入マッハ数が0.2程度と小さいため)、連続流近似で十分に流れの構造を再現できることがわかり、実験により測定された衝撃波離脱距離の増大を再現することができた。しかし、機体模型にかかる抗力増分については、計算は測定値を大きく過大評価した。この不一致の原因を突き止めるため、連続流計算をホール効果などより詳細な物理モデルを組み込んだものに拡張した。結果として、「クヌーセン数が比較的大きい流れ場では、ホール効果により電流が散逸する傾向があり、電磁力を有効に生じさせるためには、電流散逸を防ぐため流れ中に絶縁とみなせる境界が必要」であることが始めて明らかになった。さらに、アークジェット気流の実験ではプルームの境界が、実際の再突入条件下では衝撃波の前縁が、この「流れ中の絶縁境界」の役割を果たしていることを示した。以上により、電磁力による流れ制御の連続流条件下での物理メカニズムが完全に明らかにした。
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Research Products
(3 results)