2008 Fiscal Year Annual Research Report
高周波数超音波照射による水の化学反応を利用した新規凝集沈殿方法の開発
Project/Area Number |
19760586
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
大川 浩一 Akita University, 工学資源学部, 助教 (00375221)
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Keywords | 資源 / 有効利用 / 環境技術 / 懸濁液 / ゼータ電位 / 超音波 / 凝集沈殿 / 切削粉末 |
Research Abstract |
超音波化学作用を用いて、懸濁液のpHを等電領域まで操作することで、無機凝集剤等を添加することなく沈殿処理することが可能であることを昨年度明らかにした。本年度は、緑色凝灰岩に加え安山岩および酸化チタンの懸濁液 (0.05wt%) 50mlを超音波照射により沈殿処理することを試み、さらにその特徴を考察した。周波数は28kHzと200kHzを用いた。ゼータ電位測定にて各溶液の等電領域を調査したところ、緑色凝灰岩pH2.0-3.8、安山岩pH2.0-3.4、酸化チタンpH2.7-5.7であった。溶液pHを各等電領域まで調整するために、200kHzで1〜3時間照射した。その結果、3時間静置後の溶液濁度は緑色凝灰岩が520から9.81NTU、安山岩は210から21.7NTU、酸化チタンは1628から221NTUと大幅に低下した。一方28kHzではどの懸濁液にも大きな濁度変化が見られなかった。28kHzは振動や衝撃波といった物理的作用は強いが、硝酸生成といった化学作用が弱くpH操作ができなかった。しかしながら28kHzでは2μm程度の大きな粒子の沈殿が確認されており、物理作用による沈殿と考えられる。200kHz超音波照射により懸濁粒子から溶出したイオン量 (Fe, Mg, Ca, Al, Si, K) を調査した。溶液が酸性となるため、すべてのイオン量が増加した。これは硝酸、塩酸を添加した場合と同じであった。ただし、鉄については薬品を添加するより超音波を照射するほうが溶出量は少なかった。これは照射により生成したOHラジカルにより2価鉄イオンが3価鉄化合物へ変化したためと考えている。粒径変化は、200kHzでは見られなかったが28kHzでは微細化が見られた。微細化は表面電荷を大きくし、沈殿処理を困難にするため、望ましくない。最後に、大型超音波装置にて110Lの懸濁液処理を行った。濁度低下は確認できたが、処理に時間を要すため、出力の向上等が今後の課題である。
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Research Products
(4 results)