2009 Fiscal Year Annual Research Report
セルフジョイント方式を導入した革新的超伝導マグネットへの挑戦
Project/Area Number |
19760593
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
伊藤 悟 Tohoku University, 大学院・工学研究科, 助教 (60422078)
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Keywords | 分割型高温超伝導マグネット / 高温超伝導ケーブル / バットジョイント / セルフジョイント / 機械的接合 |
Research Abstract |
本研究では、負熱膨張・電磁力を利用したセルフジョイント技術を確立することで分割型高温超伝導マグネットが設計可能であることを示すことを目的としている。具体的な実施項目は、1)負熱膨張特性を持つDFRPによる高温超伝導導体の機械的接合の実証実験、2)大電流用導体の作製とそれを用いた接合試験の実施、3)構造解析による接合部構造の検討である。 1年目・2年目の研究においては、DFRPを用いての高温超伝導導体の機械的接合が実験的に可能であることを示し、また1kAオーダーの大電流が通電可能な銅ジャケット付BSCCO 2223導体の製作を完了した。 最終年度にあたる本年度は、構造解析による接合部構造の検討、および上記銅ジャケット付BSCCO 2223導体を用いての接合試験を実施した。構造解析においては、熱ひずみの影響によって接合面に不均一な接触圧力分布が発生することを示した。これは導体の材料構成を適切に選定することで改善することができるため、導体構造が設計には重要であると言える。また接合力を2方向からの組合せにすること、または導体全体に一様な圧縮応力を作用させることで接合面での接触圧力を均一化させることができることを示した。電磁力接合を用いた場合、後者に近い状況を作り出すことができ、これはセルフジョイント方式が有効な接合手段であることの一つの証明であると言える。銅ジャケット付BSCCO 2223導体を用いた接合試験では、構造解析の結果を元に、より均一な接触圧力が実現できる実験体系をまず構築して、接合抵抗を評価した結果、大電流印加時でも100nΩオーダーの低接合抵抗が実現可能であることを示すことができた。 以上より、セルフジョイント方式による分割型高温超伝導マグネットの実現可能性を示すことができた。今後は大型導体を用いての実証試験、および具体的な構造設計が必要となると考えられる。
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