| Research Abstract |
本研究課題の目的は,磁化されたプラズマの流れが引き起こす諸現象,特に磁気流体波(Alfven波)の安定性に関連した過渡現象および漸近挙動について理論・シミュレーション研究を行うことである.具体的な研究対象としては,近年核融合プラズマ分野で最重要課題の1つとされている抵抗性壁不安定性および不整磁場の浸透・増幅を取り上げる,漸近接続理論を応用して過渡現象などを解析する統一的な方法論を確立することを目的としている.
平成19年度は,円柱プラズマを用いた抵抗性壁モードの簡約化モデルおよび不整磁場による磁気島生成のモデルを開発し,漸近挙動(定常状態)の解析を行った.平成20年度は,この簡約化モデルが扱えないパラメータ領域まで含めて研究を行うため,数値シミュレーションコードを開発し,定常状態における不整磁場の浸透および電磁トルクのプラズマ回転依存性を研究した.
これらの研究を通じ,従来から定番とされてきた漸近接続理論には,プラズマ流や電気抵抗(特異摂動)が存在する場合に,本質的かつ現実的な困難が内在することが明らかになった.平成21年度は,これらの困難を解決するため,新しい数値接続法を開発することに重点を置いた.この新しい方法では,漸近接続理論のように無限に薄い境界層を用いるのではなく,有限幅の"境界層"を用いる.また,境界層内外の解は,漸近的ではなく直接接続する.この接続に必要な境界条件を導くことに成功した.さらに,この新しい方法を用い,古典的によく知られたシングル・ダブルテアリング,内部キンク,交換型モードの線形安定性を計算し,その性能の良さを示した.また,この数値接続法は初期値問題としても容易に定式化できることが特徴であり,過渡現象や漸近挙動の計算に適した統一的な方法論となっている.これらの成果は国際・国内学会で発表するとともに,著名論文誌に掲載済および掲載決定している.
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