2007 Fiscal Year Annual Research Report
電子温度と電子密度の高速同時測定分光器の整備とそれを用いた熱粒子輸送研究
Project/Area Number |
19760602
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
仲野 友英 Japan Atomic Energy Agency, 核融合研究開発部門, 研究職 (50354593)
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Keywords | 核融合 / プラズマ輸送 / 周辺局在化モード / 高速可視分光 |
Research Abstract |
国際熱核融合実験炉ITERでは標準運転モードとしてELM(周辺局在化モードと呼ばれる不安定性)を伴う改善閉じ込めモードの採用が決定された。しかし、ELMによるダイバータ板への熱と粒子の負荷はダイバータ板の寿命を定める要因であることが指摘されており、その負荷を軽減するためにELMに由来する熱と粒子の輸送の理解が急務となっている。この要求に対し本申請ではELMによって放出された熱や粒子に起因するプラズマの過渡的な輸送機構を解明することを目的とし、マイクロ秒の時間スケールで電子温度と電子密度の変化を同時に多視線で測定する可視分光器を整備する。具体的には現有の干渉フィルター型分光器の光検出部をフォトダイオードアレイから光ファイバーバンドルと光電子増倍管を組み合わせた光検出器に取り替える。また、光電子増倍管の初段のアンプを1MHzに高周波数化の改良も行う。今年度にはこれらの改造を完了し、1または2視線のみであるが初期的なデータが得られるようになった。ELMによる熱・粒子がダイバータに到達すると、電子温度と電子密度が上昇し始め、ELMによる粒子束が最大値をとる直後、100マイクロ秒で電子温度が低下し、その後、数秒の時間スケールでELMが発生する前の電子温度まで回復する。他方、電子密度はELMによる粒子束が最大値となったあと、500マイクロ秒で徐々に低下し、さらにその後、数秒の時間スケールでELM発生前の電子密度に回復する。ELM発生時にはこのようなプラズマの変化が繰り返される。改良した分光器の光軸調整をさらに進め、同時にさらに多数の視野で計測が可能になれば上記プラズマの変化の伝搬の様子を解析することが可能になる。
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