2008 Fiscal Year Annual Research Report
高時間分解能リチウムビーム放射分光計測を用いた周辺輸送現象の解明
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19760603
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
小島 有志 Japan Atomic Energy Agency, 核融合研究開発部門, 任期付研究員 (50446449)
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Keywords | リチウムビームプローブ / トカマク / 周辺プラズマ / 揺動計測 / 輸送障壁 |
Research Abstract |
本研究は、トカマクプラズマ周辺部の構造形成を明らかにすることを目的として開発したリチウムビームプローブ計測法を揺動計測に発展させ、周辺輸送障壁近傍での輸送現象の解明を目指すものである。今年度はリチウムビーム入射装置の高輝度化に成功し、制御手法を改良した結果、高時間・高空間分解能で周辺密度分布の計測に成功した。その成果として、リチウムイオン銃の開発結果がReview of Scientific Instruments誌に掲載された。また、周辺密度分布の高速計測から周辺局在モードによる密度輸送障壁の崩壊過程を詳細に観測し、ペデスタル部のトロイダル回転により密度崩壊割合が変化する事を明らかにした。それはペデスタル部の圧力分布が異なっている事が原因である事を詳細な密度分布計測から初めて明らかにし、圧力勾配が大きい場合には周辺局在モードによる密度崩壊が大きい事を実験的に示した。その結果は、第22回IAEA核融合エネルギー会議にポストデッドライン講演に採択され、また、第25回プラズマ・核融合学会年会において招待講演に採択された。また、周辺局在モードによる周辺密度分有の崩壊・回復のサイクルを初めて明らかにし、周辺密度輸送障壁の回復にはプラズマ中心部から粒子が補給されている可能性があると分かった。それら一連の結果をNuclear Fusion誌に投稿した。これらの結果は輸送障壁が形成されているプラズマ周辺部の極狭い領域で起きる現象であり、今までの計測器では得る事の出来なかったプラズマ境界面での輸送現象に対する新たな知見が得られる。
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