2009 Fiscal Year Annual Research Report
高時間分解能リチウムビーム放射分光計測を用いた周辺輸送現象の解明
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19760603
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
小島 有志 Japan Atomic Energy Agency, 核融合研究開発部門, 任期付研究員 (50446449)
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Keywords | リチウムビームプローブ / トカマク / 周辺プラズマ / 揺動計測 / 輸送障壁 |
Research Abstract |
周辺輸送障壁部の密度分布の振る舞いは、高時間・高空間分解能な計測器が必要であり、未だ十分には理解されていない。本研究は、トカマクプラズマ周辺部の構造形成を明らかにすることを目的として開発したリチウムビームプローブ計測法を高時間分解能計測に発展させ、周辺輸送障壁近傍での輸送現象の解明を目指すものである。今年度はリチウムビームプローブによって得られた、周辺密度分布の解析を行った。特に、ELMによって崩壊したペデスタル部の密度分布が回復する過程を、同視線で計測を行うFIRレーザー干渉計による線密度計測と比較した。大振幅で崩壊領域の広いType I ELMにより崩壊した密度ペデスタル構造は10ms以内に回復するが、その回復の過程で、ペデスタル領域の中でも密度が減少する領域と密度が増加する領域に分けられ、ペデスタル領域全体では密度の収支はほぼゼロとなっている事が分かった。同時にプラズマの中心部をも通る視線をもつ線密度計測ではELMによる崩壊で線密度が減少するが、ペデスタル領域での崩壊する時刻よりも2ms程遅れている。密度が減少するのに時間差があることから、視線上の密度の収支に着目した。リチウムビームプローブで計測したべデスタル領域での密度の収支は釣り合っているため、ELMによって粒子が吐き出された後、プラズマ中心部からの密度が補給されて密度ペデスタルが回復している事を示唆している。しかし、小振幅で崩壊も小さいgrassy ELMの場合は線密度に変化は見られず、密度が回復する際に中心部からではなくSOL領域から中性粒子が侵入し密度を補給している事が考えられる。これらの結果により、ELMダイナミクスの研究に新たな知見が得られた。
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