2007 Fiscal Year Annual Research Report
トリチウム水を用いた材料表面の水の存在状態のメカニズム解明に関する研究
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19760604
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
小林 和容 Japan Atomic Energy Agency, 核融合研究開発部門, 研究副主幹 (40354609)
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Keywords | トリチウム水蒸気 / 吸着・脱離 / 有機系材料 / 同位体交換 / 水蒸気 / 溶解・拡散・トラップ効果 |
Research Abstract |
今年度は、有機系材料(アクリル樹脂、ブチルゴム、エポキシ塗料)に対し、トリチウム水蒸気を曝露し、各材料の吸着量を測定するとともに、その後脱離時のパージガス種(窒素、湿潤空気)の違いによる脱離への影響について測定した。また、エポキシ塗料における脱離挙動について解析コードを用い実験結果を再現し、溶解・拡散係数などを求めた。本成果を国内で報告すると共に、トリチウムに関する国際学会において、トリチウムと材料との相互作用に関する研究の動向について情報収集した。 1、有機系材料(アクリル樹脂、ブチルゴム、エポキシ塗料)に対するトリチウム水蒸気曝露試験では、1〜2週間程度で飽和に達するものの、吸着量はステンレス鋼に比べ2〜3桁程度多いことが明らかになった。 2、有機系材料(アクリル樹脂、ブチルゴム、エポキシ塗料)に対し、窒素及び湿潤空気によりトリチウム水蒸気の脱離試験を実施した。その結果、どの材料とも数百ppm程度の水蒸気を添加することで材料表面に吸着したトリチウムを50〜70%程度脱離することが出来た。本結果は、材料表面に吸着したトリチウム水蒸気と添加した水蒸気との同位体交換反応であると考えられた。 3、これらの結果を基に、解析コードを用いエポキシ塗料中のトリチウム挙動を評価したところ、拡散係数、溶解度、トラップ効果を考慮することで、実験結果を再現することが可能となった。 これらの結果については、日本原子力学会2008春の年会(大阪大学)に参加し成果を報告・議論すると共に、トリチウム国際会議(ロチェスター)に参加し、情報を収集した。
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