2008 Fiscal Year Annual Research Report
水和物溶融体を媒体とするウランの電解還元法による回収
Project/Area Number |
19760611
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
上原 章寛 Kyoto University, 原子炉実験所, 助教 (30402952)
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Keywords | 水和物溶融体 / 濃厚電解質 / ウラン / 塩化カルシウム / 電気化学 / 再処理 / XAFS / イオン液体 |
Research Abstract |
使用済燃料の再処理技術として現在PUREXによる湿式再処理法とともに高温溶融塩に代表される乾式再処理法が検討されている。乾式再処理は、溶解した使用済燃料から直接MOX(ウランプルトニウム混合酸化物)として電極に回収することができるので、湿式再処理に比べて廃棄物量がが少ない及びプロセスが比較的単純である。ところが、融点は400度以上の高温であるため、操作性や安全性に問題がある。近年、高温ではなぐ常温での乾式再処理技術が開発されており、例えば、近年多くの分野で注目されている常温溶融塩(イオン液体)を用いてウランを回収する研究報告例がある。これらは常温で取扱いが可能で、操作性の安全性は担保されているものの、有機物である媒体が放射線によって分解するため、実用での利用には至っていない。申請者は、無機物でかつ常温で液体である「水和物溶融体」を用い、次のことを明らかにした。(1) ウランイオンはU(VI)からU(V)に電気化学的に還元されその後不均化反応によってU(VI)及びU(IV)を生成する。このとき、U(IV)はUO2として電析する。(2) 水和物溶融体中に溶存するウランイオンの錯体環境をX線吸収微細構造(XAFS)を用いて調べた結果、希薄な溶液中で観察されているウランイオンの錯体環境と全く異なることを明にした。以上の知見は、濃厚電解質である水和物溶融体に溶存するイオンの錯体環境の理解に寄与するのみならず、より安全な媒体を用いた使用済燃料の再処理技術にも寄与するものと考えられる。
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Research Products
(1 results)