2007 Fiscal Year Annual Research Report
効率的な高エネルギー中性子・ガンマ線生成断面積同時測定手法の開発
Project/Area Number |
19760612
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
執行 信寛 Kyushu University, 大学院・工学研究院, 助教 (40304836)
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Keywords | 放射線 / シンチレータ / 高エネルギー / 中性子 / ガンマ線 |
Research Abstract |
従来、高エネルギー中性子とガンマ線の両者を測定するために、液体有機シンチレータやCsI無機シンチレータが使用されてきたが、検出器を大型化する必要や、ガンマ線に対する効率やエネルギー分解能が十分ではないという問題があった。そこで、本年度は特性を数値計算を行い、無機シンチレータNaI(Tl)検出器を採用した。検出器の大きさは直径5cm、長さ5cmの円筒形とした。これは従来使用していた液体有機シンチレータよりも直径や長さが40%と小型化した物である。固体シンチレータとしたことで、液体有機シンチレータのように輸送の問題が低減できた。また、ΔE検出器なしにNaI(Tl)検出器単独で検出器を構成することとし、検出器体系全体を小型化し、サンプルにより近づけることで実効的な立体角を大きくするとともに、電子回路等の簡素化を図った。中性子とガンマ線は電子回路系が単純な2ゲート積分法で弁別することとした。この検出器を米国ロスアラモス国立研究所ロスアラモス中性子科学センターWNR施設に持ち込み、数十MeVから数100MeVまでの連続エネルギー中性子およびガンマ線照射場を利用して、応答特性などを調べた。電子回路の時定数などを調整した結果、この検出器は中性子とガンマ線を弁別できることが実験的に確認された。しかしながら、測定条件が最適化されていたとは言えないので、今後、最適化された条件で再実験を行い、またパルス波形弁別器など2ゲート積分法以外の手法との比較の必要があることが分かった。
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