2009 Fiscal Year Annual Research Report
効率的な高エネルギー中性子・ガンマ線生成断面積同時測定手法の開発
Project/Area Number |
19760612
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
執行 信寛 Kyushu University, 大学院・工学研究院, 助教 (40304836)
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Keywords | 放射線、X線、粒子線 / シンチレータ / 高エネルギー / 中性子 / ガンマ線 |
Research Abstract |
従来、高エネルギー中性子とガンマ線の両者を測定するために、液体有機シンチレータやCsI (T1)、NaI (T1)などの無機シンチレータが使用されてきたが、測定効率を向上させるために検出器を大型化する必要性や、ガンマ線に対する効率やエネルギー分解能が十分ではないという問題があった。昨年度は直径5.08cm、長さ5.08cmのBGO無機シンチレーション検出器を作製し、ガンマ線源および中性紙源を利用した特性を測定した。本年度は米国ロスアラモス国立研究所中性子科学研究センターWNR施設において、約20MeVから800MeVまでの連続エネルギー中性子ビームを利用した特性試験を実施した。この実験では直径12.7cm、厚さ12.7cmのNE213液体有機シンチレータに対しても特性を測定し、両者の特性を比較した。今回使用したシンチレーション検出器は直径、長さとも5.08cmと小型の物を使用したが、約700MeVまでの中性子が入射しても中性子のエネルギーに応じて検出器の応答が異なることが確認でき、有機液体シンチレータよりも中性子エネルギーの同定が容易であることが分かった。また、検出効率についても、直径12.7cm、長さ12.7cmのNE213有機液体シンチレータが300MeVの中性子に対して8%程度であるのに対して、BGOシンチレータは約15%とより高効率であることが分かった。実効的な測定効率を上昇させるためには、より大型の検出器の必要性が示された。中性子とガンマ線の弁別については低エネルギー領域に関してはシンチレーションの波高による粒子弁別は困難であったが、300MeV以上の中性子とガンマ線が混在する条件では中性子とガンマ線の粒子弁別を行うことが可能であることが分かった。以上のことから、BGOシンチレーション検出器を利用することで高エネルギー中性子とガンマ線の両者を測定できることが示された。
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