2007 Fiscal Year Annual Research Report
イオン液体を新規抽出媒体としたアクチノイド分離システムの構築
Project/Area Number |
19760617
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
下条 晃司郎 Japan Atomic Energy Agency, 原子力基礎工学研究部門, 研究員 (50414587)
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Keywords | イオン液体 / 溶媒抽出 / ランタノイド / アクチノイド / 4f / 5f分離 |
Research Abstract |
使用済み核燃料には長寿命核種であるマイナーアクチノイド(5f元素)が含まれているが、これを短寿命核種に変換する際に、大量に共存するランタノイド(4f元素)が阻害となる。そこで、両者の分離(4f/5f分離)が必要となるが、両者は極めて化学的性質が類似するため、未だその解決には至っていない。そこで本研究は、一般有機溶媒とは大きく特性が異なるイオン液体を溶媒抽出法における抽出媒体として応用し、4f/5fの高度分離を可能にする新規分離システムの構築を目的としている。 初年度は、まず4f/5f元素のイオン液体への抽出挙動の基礎データを得るため、非放射性核種であるランタノイドをモデル金属として抽出実験を行った。抽出剤として、窒素ドナー型六座配位子TPENおよびジグリコールアミド型三座配位子TODGAを用いた。その結果、両者共にランタノイドに対する抽出能力が、従来の有機溶媒を用いた系と比べて劇的に向上することを見出した。また、有機溶媒を用いた系で、ランタノイドはアニオンとイオン対を形成して有機相へ抽出されるが、一方、イオン液体の場合は抽出挙動が大きく異なり、ランタノイドがイオン液体とカチオン交換を起こして抽出が進行していることが示唆された。さらに、ランタノイドの対する選択性もイオン液体と有機溶媒との間で大きく変化することが明らかとなった。 以上の研究成果は、核燃料サイクルの技術に新たな可能性を示すものであり、来年度は今回得られた基礎データをもとに、実際に放射性核種を用いて4f/5f分離を検討する予定である。
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