2008 Fiscal Year Annual Research Report
イオン液体を新規抽出媒体としたアクチノイド分離システムの構築
Project/Area Number |
19760617
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
下条 晃司郎 Japan Atomic Energy Agency, 原子力基礎工学研究部門, 研究員 (50414587)
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Keywords | イオン液体 / 溶媒抽出 / ランタノイド / アクチノイド / 4f / 5f分離 |
Research Abstract |
本研究の目的はイオン液体を溶媒抽出法における新規媒体として利用し、使用済み核燃料からマイナーアクチノイドを抽出分離するシステムを構築することである。特に長寿命核種であるマイナーアクチノイド(5f元素)を短寿命核種に変換する際に、共存するランタノイド(4f元素)が阻害となるため、両者の分離(4f/5f分離)が必要となる。本研究では、安全でグリーンな溶媒であり、さらに高いイオン性を保持したまま、高い疎水性を有するイオン液体を抽出媒体とし、一般有機溶媒を用いた系との比較を行った。前年度までに、窒素ドナー型六座配位子TPENおよびジグリコールアミド型三座配位子TODGAを抽出剤に用い、イオン液体へのランタノイドの抽出を検討した結果、両者共にランタノイドに対する抽出能力が従来の有機溶媒を用いた系と比べて劇的に向上することを見出した。また、イオン液体と有機溶媒との間で抽出メカニズムおよび金属イオンに対する選択性が大きく変化することを明らかにした。 本年度は、実際に放射性核種であるAm-241とEu-152を用いてイオン液体における抽出挙動を検討したところ、TPENに関しては、両者の分離係数が30以上と商い値を示した。また、イオン液体系では困難とされる逆抽出を、pHという外部刺激を与えることで達成し、さらに抽出相の繰り返し使用が可能であることを明らかにした。一方、TODGAにおいて、アクチノイドに対する抽出能が、一般有機溶媒系と比べ数百倍も向上することを発見した。 以上の研究成果は核燃料サイク片の技術に新たな可能性を示すものであり、より最適な条件を確立することで、さらなる飛躍が期待できる。
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