2008 Fiscal Year Annual Research Report
高分解能中性子共鳴スピンエコー法のためのビーム発散補正ミラーの開発
Project/Area Number |
19760618
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
丸山 龍治 Japan Atomic Energy Agency, J-PARCセンター物質・生命科学ディビジョン 中性子基盤セクション, 研究員 (90379008)
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Keywords | 中性子スーパーミラー / 中性子スピンエコー法 |
Research Abstract |
本研究の目的は、楕円の2焦点と楕円状の任意の点を結ぶ線分の和は等しいという原理を利用し、入射ビーム及び試料からの散乱ビームを反射させて全ての中性子のフライトパス長を揃え、中性子スピンエコー測定におけるビーム発散によるエネルギー分解能の減少を抑えることである。 平成20年度は、前年度に製作した1次元楕円面を近似した円筒面形状をもつ中性子集光スーパーミラーを用いて、MIEZE型スピンエコー実験を行った。その結果、6 mradの発散角をもつ入射ビームに対して円筒面スーパーミラーで集光することにより、発散角によるフライトパス長の差が補正されることを実証した。この成果は、集光スーパーミラーにより中性子共鳴スピンエコー法の高エネルギー分解能化、高強度化が可能であることを意味する。本研究のターゲットであるタンパク質等の巨大分子のスローダイナミクスに応用するには、集光ミラーの大面積化やスピンエコー分光器の高分解能化が課題である。 また、本研究における集光ミラーの開発過程において中性子スーパーミラーの高性能化に関する研究を進めた結果、Niの3、4、6倍の臨界角をもつスーパーミラーで臨界角における反射率が90、80、40%という世界最高級の高反射率を実現した。さらに、スーパーミラーを集光素子として用いる際にはミラーからの散漫散乱を抑えることが重要であるが、多層膜界面粗さの界面間の相関を制御することにより散漫散乱強度を著しく減少させることができることを実証した。
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Research Products
(6 results)