Research Abstract |
本研究は二酸化炭素(CO_2)の臨界点近傍でCO_2とジエチルカーボネート(DEC)とを混合させたときに現れる大きな発熱に着目し,この熱効果を利用した環境対応型の給熱システムの実用化を目的として着手したものである.本年度は,これまでの基盤研究においてに設計した流体のサイクルシステムのさらなる検討に加え,CO_2に組み合わせる溶剤の検索とシステムの完成を目的として次の諸項を行った. 1.昨年度までの基盤研究から,流体の総流量を0.3mol/minから0.4mol/minに増加させた場合,熱回収率が上昇した結果を踏まえて,総流量を0.51mol/minとした場合の熱回収実験を行った。その結果,最大回収熱量は3401J/mol,最大COPは1.56であり,これまでの結果に比較してこれらの値は減少している.これは,流体の総流量を上昇させたことにより,コンプレッサーがCO_2を測定に必要な圧力まで昇圧させることができなかったため,熱の発生が減少したと考えられる.そこで,吐出し空気量を大きなコンプレッサーを導入し,回収熱量およびCOPの向上を目的として熱回収実験を継続している. 2.CO_2と組み合わせる流体としてDEC以外に大きな熱効果が得られるかどうかの検索を,混合熱の測定を通して行った.今回はエーテル結合を有するγ-ブチルラクトンに着目し,CO_2+γ-ブチルラクトン系の298-303K,6.0-6.5MPa,ならびに308K,5.0-7.5MPaにおける混合熱の測定を精密熱量計を用いて行った.その結果,両系の発熱の最大値は298K,6.0MPaにおいて約7.8kJ/molであった.これまでの基盤研究において測定した混合系では298K,5.0MPaにおいて最大発熱量を得ている.そこで,圧力を下げて混合熱を測定すればDECと同様の大きな熱効果が得られるものと考え,来年度も引き続き測定を継続する予定である.
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