2008 Fiscal Year Annual Research Report
ゲノム中に大量に散在するレトロトランスポゾン配列のゲノム機能における役割
Project/Area Number |
19770002
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Research Institution | National Institute of Genetics |
Principal Investigator |
一柳 健司 National Institute of Genetics, 総合遺伝研究系, 助教 (70401560)
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Keywords | レトロトランスポゾン / SINE / DNA結合蛋白質 / ゲノム機能 / one-hybridスクリーニング / 転移 |
Research Abstract |
レトロトランスポゾンは生物界に広く存在する転移因子であり、特に哺乳類ではゲノムの約40%がレトロトランスポゾンによって占められている。これらの配列は利己的に増幅する因子であると考えられてきたが、近年、宿主の細胞機能等に深く関与する例が報告されており、必ずしも利己的ではない可能性が示唆されている。特に種を超えて配列が保存されているルトロトランスポゾンが多く見つかっており、これらには何らかの機能があるのではないかと考えられている。本研究はその中でも特に保存性が高く哺乳類全般に存在するレトロトランスポゾンMIRの中央保存配列(CORE)に結合する蛋白質を同定し、キャラクタリゼーションを行うことで、この散在配列の機能を同定することを目的として研究を進めてきた。これまでにHeLa細胞の核抽出液中にMIR配列に特異的に結合するタンパク質因子が含まれることを明らかにしてきた。2年度目にあたる20年度はHeLa細胞のcDNAライブラリーを作成し、酵母菌one-hybridスクリーニングシステムを利用して、MIR結合タンパク質をクリーニングしたところ、ピストンH2A.Zバリアントおよび機能未知のZnフィンガータンパク質をポジティブクローンとして同定した。現在、DNA結合様式など生化学的な解析を進めようとしているところである。これらの解析を通してMIR配列がもつ機能を同定することを今後も進めていく。MIRは哺乳類の目・科・属・種が増幅、確立した時期に活発に転移した配列であるので、MIRが転移して新たな場所にその機能が付加されることによって、どのような多様性が生まれたのか、レトロトランスポゾンと生物進化の関係を知る手がかりになるだろうと思われる。
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Research Products
(4 results)