2008 Fiscal Year Annual Research Report
胚盤胞における雌雄差と機能性small RNAの分子生物学的解析
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19770004
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
小林 慎 Tokyo Medical and Dental University, 難治疾患研究所, 特任講師 (10397664)
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Keywords | small RNA / 性分化 |
Research Abstract |
哺乳類の遺伝学的な性(雄はXY,雌はXX)は受精時に決まり、ついでSryの発現が引き金となって生殖腺の性が決まり、生殖腺からの性ホルモンが全身に作用して雌雄に様々なちがいを引き起こすといわれている。しかし着床前に雄は雌より早く成長するという報告があり、この時期から雌雄が性分化をしている可能性が高い。そこで「雌雄の発生がいつから異なるのか?」というテーマに取り組むため発生初期の雌雄の胚を比較してきた。我々のこれまでの研究では、DNAマイクロアレイの解析により従来考えられていたより早い胚盤胞期から既に雌雄の遺伝子発現が異なっていることを明らかにしている。一方、近年、small RNAと呼ばれる低分子のRNAが見つかってきており、これらは哺乳類の発生において重要な機能を持ち、正常な個体発生に必須の分子であることがわかってきている。そこで雌雄の発生を分子生物学的に比べるには既知遺伝子だけではなく、small RNAの解析も必須であると考えた。そこで、雌雄間で発現の異なるsmall RNA分子を探索を行うために胚盤胞におけるsmall RNA libraryの作製を行うことにした。胚盤胞は微量のサンプルであるため、PCRによるサンプルの増幅などの工夫を凝らすことにより、雌雄の胚盤胞各1000個からオリジナルのクローン数が多い良質のライブラリーを作製することに成功した。このライブラリーについて大規模シーケンスを行い、雌雄それぞれ30万以上のsmall RNAの配列決定に成功している。現在、両者の配列を比較し雌雄間で発現の差を示す候補small RNAを複数同定している。これにより着床前の雌雄胚で発現に差があるsmall RNAのデータという着床前における雌雄の発生を理解する上で非常に貴重な情報が得られたと考えられる。
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