2007 Fiscal Year Annual Research Report
主要生体構成元素の循環に関与する培養不能な硫黄酸化細菌の機能解析
Project/Area Number |
19770008
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
小島 久弥 Hokkaido University, 低温科学研究所, 助教 (70400009)
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Keywords | 硫黄酸化細菌 / 硝酸呼吸 / 微生物生態学 |
Research Abstract |
特定の系統に属する一群の硫黄酸化細菌は、細胞内に硝酸イオンを蓄積する能力を持つ。これらの細菌は炭素・窒素・硫黄・リンといった、生体を構成する主要な元素の循環において重要な役割を担っていると考えられている。しかしながら、未だ純粋培養が得られていないことにより、その機能を詳細に解析することは困難な状況にある。硝酸イオン蓄積硫黄酸化細菌のうち、唯一淡水に生息することが知られている淡水性Thioplocaを対象として、遺伝子解析からの機能推定に着手した。試料は北海道オコタンペ湖の堆積物中から採取した。濾過湖水による洗浄を繰り返したThioploca試料からDNAを抽出し、16S rRNA遺伝子のクローニング解析を行った。これにより、得られたDNAの大半がThioploca由来であることを確認すると同時に、混入している他の細菌を特定した。このDNA試料を用い、硝酸呼吸に関わる遺伝子をPCR増幅し、クローニングの後に塩基配列の決定を行った。その結果、従来知られているものとは系統的に隔たった複数の配列が得られた。また、リアルタイムPCR解析システムを用いた定量PCRによってThioplocaの16S rRNA遺伝子を定量する手法を確立した。これにより、クローニング解析によって得られた遺伝子配列がThioplocaに由来するものであるか否かを推定することが可能となった。この手法を多様な遺伝子に適用することによって、淡水性Thioplocaが潜在的に持つ機能を推定することが可能になると期待される。またこの手法は実際の生息環境における現存量や、現場での物質循環への寄与の大きさを推定するうえでも有効であると考えられる。
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