2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19770016
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Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
鈴木 亮 Nara Women's University, 共生科学研究センター, 非常勤研究員 (90418781)
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Keywords | 個体群 / 植物生態学 / 空間構造 / 個体間相互作用 / 被食 / 競争 / 保護効果 / 局所適応 |
Research Abstract |
目的:大型動物の採食を受ける環境下における植物種間での正と負の相互作用が植物群落の空間構造や種共存に与える影響を明らかにする。そのために、刺毛をもつ防御植物(イラクサ)と防御形質をもたない他種植物との相互作用を解析する。 本年度は、以下の課題について研究を進めた。 1.競争効果と保護効果の分離評価(野外操作実験) 奈良公園内で防御植物(イラクサ)の存在有り/無しおよび被食防護柵の設置有り/無しの処理を組み合わせた処理区それぞれ10区画ずつを設置した。約2カ月おきに(計4回)に各調査区内でのイヌタデの空間配置、生存、個体サイズ、繁殖量を記録した。結果、柵内ではイラクサの競争効果(負の相互作用)が強く検出され、柵外では競争効果と保護効果(正の相互作用)は相殺していた。 2.保護効果の空間的・時間的スケールの評価 個体間距離を考慮した相互作用モデルでデータを解析したが、距離の効果は十分に検出されなかった。次年度の課題:群落の空間構造や多様性に与える影響についても解析を行う。また、保護効果が見られなかった理由として、奈良公園の長い被食歴に対する植物の適応があげられる。被食適応個体は、単体で生育できるため、防御植物からは保護よりも競争圧をより強く受けたのではないかと考えられる。したがって、今後は被食環境に適応していない植物個体を用いた検証も必要である。
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