2007 Fiscal Year Annual Research Report
「生物」時計の解明、試験管内再構成系からのアプローチ
Project/Area Number |
19770029
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
北山 陽子 Nagoya University, 理学研究科, 助教 (20444367)
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Keywords | シアノバクテリア / 概日時計 / 環境応答 / 時計遺伝子 / 再構成 |
Research Abstract |
シアノバクテリアの概日リズム発生にはkaiABCが必須であり、試験管内でKaiA,KaiB,KaiCを混ぜるだけで、KaiCの概日リン酸化振動が起こることから、概日時計機構の本質はKaiタンパク質であり、試験管内で解析できると考えられている。しかし、試験管内と細胞では環境が異なっている。本研究は、再構成系で得られた知見をふまえて、細胞の時計システムの構造を解析するため、以下の研究を行った。 1.細胞で働く概日時計と試験管内で動く振動体KaiCリン酸化サイクルの違いの解析 試験管内(in vitro)と細胞(in vivo)の時計の相違点を比較し、細胞の概日時計に特異的な反応を探索するし、生体内の時計システムにとって必要な要素を同定するため、in vitroとin vivoで表現型の異なるkaiABC変異体の探索を行った。kaiABCには様々な表現型を示す変異が同定されているため、その中から数個選び、細胞内のKaiタンパク質をウエスタンブロットで解析し、発現が確認できた変異型Kaiタンパク質を大腸菌発現系で精製を行った。in vitroで表現型を解析したところ、in vivoと異なる変異体が得られた。 2.転写翻訳フィードバック制御の生体内の時計における意義 リン酸化サイクルは転写翻訳フィードバック制御がなくても概日リズムを生み出すが、リン酸化サイクルのないと概日リズムが生じないかはまだ検証していないため、まずシアノバクテリアの細胞内においてリン酸化サイクルを阻害し、概日リズムの表現系を観察した。その結果、リン酸化サイクルのなくても概日リズムは形成されることがわかった。つまり、リン酸化サイクルはシアノバクテリアにおいて概日リズムを形成するための唯一の振動体ではなく、転写翻訳フィードバック制御と協調して細胞にリズムをもたらしていることがわかった。
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