2008 Fiscal Year Annual Research Report
「生物」時計の解明、試験管内再構成系からのアプローチ
Project/Area Number |
19770029
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
北山 陽子 Nagoya University, 理学研究科, 助教 (20444367)
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Keywords | シアノバクテリア / 概日時計 / 環境応答 / 時計遺伝子 / 再構成 |
Research Abstract |
シアノバクテリアの概日リズム発生にはkaiABCが必須であり、試験管内でKaiA, KaiB, KaiCを混ぜると、KaiCの概日リン酸化振動が起こることから、概日時計機構の本質はKaiタンパク質であると考えられるが、試験管内と細胞では環境が異なっている。本研究は、再構成系で得られた知見をふまえた細胞の時計システムの構造の解析を行った。 転写翻訳フィードバック制御の生体内の時計における意義 シアノバクテリアの細胞内においてリン酸化サイクルを阻害する、もしくはリン酸化サイクルが存在しないKaiC変異体KaiC[S431E ; T432E]を用いて、概日リズムの表現型を測定した。その結果、リン酸化サイクルのなくても細胞においては概日リズムは形成されることがわかった。つまり、リン酸化サイクルはシアノバクテリアにおいて概日リズムを形成するための唯一の振動体ではないことがわかった。 細胞で働く概日時計と試験管内で動く振動体KaiCリン酸化サイクルの違いの解析 試験管内と細胞の時計の相違点の比較から細胞の概日時計に特異的な反応を探索し、生体内の時計システムにとって必要な要素を同定するため、KaiCのリン酸化を促進するKaiCを過剰に発現しリン酸化サイクルを阻害するKaiA過剰発現株を用いて解析を行った。その結果細胞の時計では、リン酸化サイクルと転写翻訳サイクルが両方存在しないと、振動周期が短周期化し、さらに振動は安定性を欠くことがわかった。
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