2008 Fiscal Year Annual Research Report
C4植物に特化したCP12Lを介した光量依存的カルビン回路活性調節機構の解析
Project/Area Number |
19770034
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
古本 強 Hiroshima University, 大学院・理学研究科, 准教授 (30313208)
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Keywords | 代謝制御 / 酵素活性調節 / C4光合成 |
Research Abstract |
植物の大半は大気中の二酸化炭素濃度が低いために、この二酸化炭素濃度を律速要因として生育している。一部のC4植物と呼ばれる植物においては、特殊に発達させた二酸化炭素濃縮回路によって大気中の二酸化炭素を約70倍にも濃縮し、生育環境中の二酸化炭素律速を超越している。したがってこれらの植物においては、生育律速要因は主として光量である。光量は、雲や被陰物により、偶発的に大きく変動するため、C4植物は、明期における光量変化に応答するすべを発達させていると期待されるが、その実体はまったく不明であった。 これまで、C4植物に多く発現する遺伝子を解析する過程において、カルビン回路制御に関わると考えられる新規因子CP12Lを単離した。このCP12Lの遺伝子発現やタンパク質局在解析などにより、C4植物に特異的に代謝酵素複合体形成に機能する可能性が考えられたので、これを介した複合体形成因子の同定により、どのようにC4光合成と関連しうるのかを検討した。 本研究により、In vitro複合体再構成実験を行い、NADP依存的なGAPDH・PRK複合体形成を証明した。さらに暗処理した葉の抽出液中においても同様の複合体の存在を認めた。これらの結果は、In vitro, In vivoともに、CP12Lを介した複合体形成が起こっていることを示している。これらの結果から、CP12Lは、葉緑体内部のMDP/NADPHバランスをモニターし、NADPが多くなる環境下、つまり被陰条件下においてNADP依存的なGAPDH・PRK複合体形成を行い、カルビン回路の活性を制御していることが示唆され、従来から不明であったC4植物の光量応答機構の一端を明らかにすることができた。
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